「発明の単一性の要件」
「発明の特別な技術的特徴を変更する補正」
審査基準の改訂について
2013年7月
藤本昇特許事務所
所長 弁理士 藤本 昇
担当:特許第3部 部門長
弁理士 北田 明
この度、特許庁は「発明の単一性の要件」、「発明の特別な技術的特徴を変更する補正」の審査基準を改訂し、併せて、当該改訂に関連する部分について「審査の進め方」の審査基準、及び審査ハンドブックを改訂しましたので、そのポイントについてお知らせします。
記
≪改訂のポイント≫
「発明の単一性の要件」の審査基準の改訂ポイント
※ 改訂前の審査対象となる発明に加えて、以下の緑字で示す発明が、新たに審査対象となります。
つまり、審査対象が拡大されました。
(1)特別な技術的特徴(以下、STF)に基づく審査対象の決定
特許請求の範囲の最初に記載された発明、又はその発明特定事項を全て含む同一カテゴリーの発明のうち、最初の一系列の発明についてSTFの有無を判断し、「STFを発見するまでにSTFの有無を判断した発明」及び「最初に発見されたSTFと同一の又は対応するSTFを有する発明」を審査対象とする。
(2)審査の効率性に基づく審査対象の決定
上記(1)において、審査対象とした発明とまとめて審査を行うことが効率的である発明については、審査対象に加える。
例えば、下記(a)、(b)の発明は、まとめて審査をすることが効率的である発明として、審査対象に加える。
(a) 特許請求の範囲の最初に記載された発明の発明特定事項を全て含む同一カテゴリーの発明。
ただし、(ⅰ)特許請求の範囲の最初に記載された発明が解決しようとする課題と、当該発明に対して追加された技術的特徴から把握される、発明が解決しようとする具体的な課題との関連性が低い発明、又は(ⅱ)特許請求の範囲の最初に記載された発明の技術的特徴と、当該発明に対して追加された技術的特徴との技術的関連性が低い発明を除く。
(b) (1)において審査対象とした発明を審査した結果、実質的に追加的な先行技術調査等を必要とすることなく審査を行うことが可能である発明。
「発明の特別な技術的特徴を変更する補正」の審査基準の改訂ポイント
※ 上記「発明の単一性の要件」の審査基準の改訂に則して判断されます。
補正後の請求項①から⑥に係る発明が、補正前の請求項1から3に係る発明に続けて記載されていたと仮定したとき(すなわち、補正後の請求項①から⑥に係る発明が、補正前の請求項4から9に係る発明であると仮定したとき)に、「第Ⅰ部第2章 発明の単一性の要件」の「3.1 審査対象の決定」に照らして、発明の単一性の要件以外の要件についての審査対象となる補正後の発明を、第17条の2第4項以外の要件の審査対象とする。
≪改訂審査基準の適用時期≫
「発明の単一性の要件」の改訂審査基準は、平成16年1月1日以降の出願に対して、平成25年7月1日以降の審査に適用されます。「発明の特別な技術的特徴を変更する補正」の改訂審査基準は、平成19年4月1日以降の出願に対して、平成25年7月1日以降の審査に適用されます。
≪詳細情報≫
詳細につきましては以下の特許庁HPをご参照願います。
◆「発明の単一性の要件」、「発明の特別な技術的特徴を変更する補正」の審査基準の改訂について
http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/hatsumei_kaitei.htm
◎特許・実用新案 審査基準「第I部第2章 発明の単一性の要件」
http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/hatsumei_kaitei/1_2.pdf
◎特許・実用新案 審査基準「第III部第II節 発明の特別な技術的特徴を変更する補正」
http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/hatsumei_kaitei/3_2.pdf
◎特許・実用新案 審査基準「第IX部 審査の進め方」
http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/hatsumei_kaitei/9.pdf
◎「発明の単一性の要件」、「発明の特別な技術的特徴を変更する補正」等の審査基準改訂案に対する意見募集の結果について
http://www.jpo.go.jp/iken/shinsa_kaitei2536_kekka.htm
◆審査ハンドブックの改訂について
http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/shiryou/kijun/kijun2/koushin_handbook_shinsa.htm
以上
≪今後の企業の実務対策≫
上記のように、「発明の単一性の要件」等に関する審査基準が改訂されたことにより、より一層発明の特徴である技術的意義を客観的に理解又は解明しておくことが重要となりますので、ご注意ください。
今回の改訂についてご不明な点がありましたら、ご連絡ください。
【本件に関するお問合せ】
藤本昇特許事務所 特許第3部 部門長 弁理士 北田 明
TEL 06-6271-7908/FAX 06-6271-7910 E-mail:info@sun-group.co.jp