Ⅰ「特許法等一部を改正する法律」が閣議決定
Ⅱ 米国特許法一部改正の注意点
2014年4月
サン・グループ 代表
藤本昇特許事務所 所長
弁理士 藤本昇
拝啓
本年度も早や4月スタート、各企業は新年度の知財計画を実践するスタート月となりました。
企業活動のグローバル化が進行する中で、我が国知財法も諸外国とのハーモナイゼーションとの関係で大きく改正される方向にあり、今般特許法等一部を改正する法律が閣議決定され国会に上程されることとなりましたので、ここにその概要をお知らせします。
また、米国特許法の重要な改正がありましたので同時にお知らせします。
敬具
記
Ⅰ特許法等一部改正の件
■特許法関係■
特許異議申立て制度が創設され、特許公報発行日から6ヶ月以内であれば「何人」でも特許異議申立てを行うことができます。
この制度は過去にもありましたが、今回復活制度となります。
異議申立てに対しては特許権者が訂正請求することは可能です。
尚、この制度の創設によって無効審判は「利害関係人」のみが請求可能と改正されます。
■意匠法関係■
今回の意匠法の改正法律案は、新規性喪失の例外適用時の期間(第4条第4項)と国際登録出願及び国際意匠出願に係る特例の新設になります。
特に、後者は、我が国がハーグ協定ジュネーブ改正協定に加入することに基づくものですが、複数意匠一括出願の手続きや審査方法、国際公表の延期期間、図面等の提出要件、補正の許容範囲等課題が多く、今後のワーキンググループにおいて検討が行われますので、詳細内容等については、明らかになり次第アナウンスするように致します。
■商標法関係■
(1)保護対象の拡充 ※詳細は別紙
これまでの文字や図形に加えて、色彩や音といった商標が保護対象に追加されます。
(2)地域団体商標の登録主体の拡充
商工会、商工会議所及びNPO法人が商標法の地域団体商標制度の登録主体に追加されます。
Ⅱ米国特許法一部改正の件
◆米国特許法改正に関する注意点◆
特許法条約(PLT)の批准に伴って改正された米国特許法(2013年12月18日施行)では、特許の維持年金納付についてのルールが変更されています。改正前は、納付期限後6ヶ月の猶予期間を経過した後は、(i)24ヶ月以内の故意でない理由による遅延の場合、又は(ii)その遅延が不可避な理由による場合、に限り納付が認められていましたが、改正後は、故意でない場合の「24ヶ月以内」という期限が撤廃され、あわせて「不可避」を理由とする納付が削除され、「故意でない場合」に一本化されました。従って、「故意でない」ことが認められれば「24ヶ月以内」でなくとも納付が認められて特許権が復活しうるようになっており、手続き上のミスを救済する要件が改正前よりも緩和されています。
これにより、権利者の保護が手厚くなった反面、第三者は、一旦消滅した権利であっても権利期間が満了するまでは復活する可能性を考慮しなければならなくなり、注意が必要になります。なお、6ヶ月の猶予期間経過後の実施に対しては、回復した権利に対する中用権(Intervening rights)が規定されています。
以上
【本件に関するお問合せ】
藤本昇特許事務所
TEL 06-6271-7908/FAX 06-6271-7910 E-mail:info@sun-group.co.jp
特許:特許第3部門長 弁理士 北田明
意商:意匠部門長 弁理士 野村慎一
商標:商標部門長 弁理士 白井里央子
米国:国際部門長 弁理士 小山雄一