『不正競争防止法、意匠法、商標法等の改正についての重要なお知らせ』
2023年7月
サン・グループ 会長
弁理士法人 藤本パートナーズ
会長 弁理士 藤本 昇
貴社益々御清栄の段お慶び申し上げます。
既にご承知のことかと存じますが、2023年6月14日に不正競争防止法等の改正法が公布されました。
この法律は、一部の規定を除き、公布の日から一年を超えない日に施行されます。主な改正項目は以下のとおりです。
1.商標法について
(1)コンセント(同意書)制度の導入
現行では、同一・類似の指定商品等において、同一・類似の他人の先行登録商標が存在するときには、その出願商標は登録することができませんでしたが、本改正によりその先行登録商標の商標権者の同意があり、かつ審査において両商標に出所混同のおそれがないと判断された場合には登録が認められるようになります(商標法4条1項11号関係)。
(2)自己の氏名の商標について
現行では、「他人の氏名」を含む商標の登録をするためには、その氏名を有する全ての他人の承諾が必要でしたが、本改正により商標の使用をする商品・役務の分野で需要者に広く認識されていない氏名や政令に定める要件に該当するものであれば、他人の氏名を含む商標であっても商標登録をすることができるようになります(商標法4条1項8号関係)。
2.意匠法について
創作者等が意匠登録出願前にデザイン(意匠)を複数回公開した場合の救済措置を受けるための手続要件が緩和されます(新規性喪失の例外の証明負担の軽減)。
具体的には、先の公開に基づいて複数回に亘って事後公開した場合を除き、従前は出願までの公開行為の全ての行為の事実を証明書に記載する必要がありましたが、施行後は、原則として最先の公開行為のみを証明書に記載すれば良いことになります(意匠法4条3項及び同60条の7の1項関係)。
※本改正は意匠のみで、特許は従前通りとなります。
3.不正競争防止法について
(1)不正競争防止法2条1項3号(商品形態の模倣)の改正(メタバース関連規定)
不正競争防止法2条1項3号の規定に「電気通信回線を通じて提供する行為」を追加し、商品形態の模倣行為について、デジタル空間上でも不正競争行為の対象とし、差止請求権等を行使できるように改正されました。
例えば、現実の製品をメタバース上で模倣された場合には、不正競争行為に該当する可能性があります。
本改正によって、メタバース等仮想空間において他人の商品形態を模倣した商品を画像で表示して商品提供することは違法となります。
(2)不正競争防止法2条7項(営業秘密・限定提供データの保護強化)
ビッグデータを他社に共有するサービスにおいて、データを秘密管理している場合を含め、限定提供データとして保護し、侵害行為の差止請求等を可能とする改正です。
「限定提供データ」とは、業として特定の者に提供する情報として電磁的方法により相当量蓄積され、及び管理されている技術上又は営業上の情報をいいます。
以上、本改正についてご不明点等がございましたら下記お問い合わせ先までご連絡下さい。
【お問い合わせ先】
<商標について> 商標部 部門長 弁理士田中 s.tanaka@sun-group.co.jp
<その他> 意匠部 部門長 弁理士石井 t.ishii@sun-group.co.jp