2022年3月
各位
弁理士法人 藤本パートナーズ
所長 弁理士 藤本 昇
副所長 弁理士 中谷 寛昭
特許第1部部門長 弁理士 小山 雄一
特許第2部部門長 弁理士 北田 明
東京オフィス所長 弁理士 横田 香澄
貴社益々ご清栄の段お慶び申し上げます。
さて、特許制度の国際調和の観点から特許法施行規則及び実用新案法施行規則が改正され、2022年4月1日よりマルチマルチクレームが制限されますのでご案内申し上げますとともに、
ご注意下さいますようお願い申し上げます。
1.マルチマルチクレームとは
マルチマルチクレームとは、マルチクレーム(2以上の請求項を択一的に引用する請求項)を引用する
マルチクレームのことを意味します。
例えば、下記請求項4は、2以上の請求項を択一的に引用する請求項3(マルチクレーム)を引用する
マルチクレームであり、マルチマルチクレームに該当します。
請求項1 Aを含む組成物
請求項2 さらにBを含む請求項1に記載の組成物
請求項3 さらにCを含む請求項1又は2に記載の組成物
請求項4 さらにDを含む請求項1~3の何れか1項に記載の組成物
2.マルチマルチクレーム制限の基準日
・2022年4月1日以降の出願に適用されますのでご注意下さい。
・この制限の適用は、出願日を基準に判断されます。
通常の国内出願ではその出願日、分割出願・変更出願では原出願日、優先権主張出願では、後の出願日、
PCT出願では国際出願日で判断されます。
・PCT出願の国際調査及び国際予備審査においては、マルチマルチクレームの制限はありません。
3.マルチマルチクレーム制限についての注意事項
(1)審査の運用について
マルチマルチクレームが発見された場合、そのクレームについては新規性、進歩性等の審査がなされず、
委任省令要件違反(特許法第36条第6項第4号違反)として拒絶理由が通知されます。
そして、この拒絶理由通知に対する応答でマルチマルチクレームを解消する補正がなされ、
その後の審査において通知することが必要となった拒絶理由のみが通知される場合、
その拒絶理由通知は「最後の拒絶理由通知」となります。
最後の拒絶理由通知は、補正範囲が制限されているため要注意。
尚、特許庁がマルチマルチクレーム検索ツールを提供していますので、
このツールを利用することもご検討下さい。
(2)例外について
中国では、請求項の末尾が引用する請求項の末尾と異なるものは、独立クレームとして扱われ、
マルチマルチクレームとなるものであっても制限の例外として許容されています。
しかしながら、日本ではこのような例外が許容されておりませんので、ご注意下さい。
4.当事務所の対応
当事務所においては、マルチマルチクレームによる委任省令要件違反の拒絶理由を受けることがないよう、
事前チェックを徹底して対応させて頂きます。
【お問い合わせ先】
弁理士法人 藤本パートナーズ TEL:06-6271-7908 FAX:06-6271-7910
特許部統括パートナー 副所長 弁理士 中谷 寛昭 (E-mail:pat-nakatani@sun-group.co.jp)