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『Brexit後の意匠・商標への影響』

2020年02月27日

『Brexit後の意匠・商標への影響』

2020年2月

各位

弁理士法人藤本パートナーズ
所 長 弁理士 藤本 昇 
意匠部部門長 弁理士 石井 隆明 
  商標部部門長 弁理士 白井 里央子

拝啓  時下益々御清栄のこととお慶び申し上げます。
  さて、ご承知の通り、2020年1月31日をもちまして英国が欧州連合(EU)より離脱し、特許庁においても関連情報が掲載されております。

https://www.jpo.go.jp/system/laws/gaikoku/uk/brexit_202002.html

これまでサン・グループニュースにおいてもご案内しておりましたが、改めて、今後の意匠および商標への影響についてご案内致します。

敬具

1.意匠

(1)今回のBrexitの際、英国と欧州連合との間において、離脱協定の合意に達しましたので、2020年12月31日までの移行期間中は、従来通りのEUIPOに対する共同体意匠としての出願手続きで、英国での保護を受けることができます。

(2)移行期間については、英国の現段階での方針では延長しないとされておりますが、最長で2年間の延長の可能性があり、延長するかどうかは2020年7月1日までに英国と欧州連合の間で決定する取り決めとなっております。

(3)移行期間終了後には、英国と欧州連合へ、それぞれ個別に出願手続きを行う必要がありますが、移行期間中の手続きについても以下の点に注意が必要です。

 a.2020年12月31日の時点で、EUIPOにおいて公告されている必要があります。すなわち、移行期間末日(延長なしの場合、2020年12月31日)の段階で、

 ①出願手続きが完了していても、公告されていなかった場合や、

 ②登録を受けていても公告繰り延べ請求により、公告されていない場合には、英国での保護を受けることはできません。

 ※上記の場合には、移行期間終了から9か月以内に英国への再出願が必要です。

 b.更新手続き

 ①移行期間末日後に共同体意匠の年金支払い期日が到来するものについては、移行期間内に年金を支払ったとしても、英国での年金の支払いは免除されません。

 ※この場合は、移行期間経過後に、英国へ別途年金を納付する必要があります。

 ②年金納付の効果がいつ発生するかについては、現段階で明らかではありませんので、移行期間中に支払期日が到来する欧州登録意匠については、早めに年金を納付することをお勧め致します。

(4)ハーグ出願
 移行期間末日までに共同体意匠が有効となった場合(国際公開+EUIPOからの拒絶無し)、英国を指定国に含めていなくても、英国国内登録として自動的に英国での保護を受けられます。

 ※上記に該当しない場合、移行期間終了後9か月以内に英国への再出願が必要となります。

2.商標

1.移行期間中
(1)移行期間中(2020年2月1日~2020年12月31日)は、EU法が引き続き英国において効力を有することになるため、原則として2020年12月31日まで、現在の欧州連合商標(以下「EU商標」とします)の効力はそのまま英国にも及びます。尚、移行期間は最長で2年延長される可能性がある点にご留意ください。

(2)マドリッドプロトコルにおいて欧州連合を領域指定している商標の国際登録につきましても、引き続き英国に効力が及ぶこととなります。

2.移行期間後
(1)EU商標は、英国において効力が及ばなくなります。

(2)移行期間の終了時(2021年12月31日の予定)に、全ての既存のEU商標は、自動的かつ無償で英国国内商標として英国登録簿に移行登録されます。すなわち、既存のEU商標は、英国の国内商標登録となります。

(3)欧州連合を領域指定している国際登録につきましても、移行期間の終了時に英国商標登録簿に移行され、英国国内商標登録となると予想されます。

(4)移行期間の終了時(2021年12月31日の予定)に、欧州連合商標の出願が係属中でまだ登録されていない場合は、上記の自動的かつ無償での英国商標登録への移行の恩恵を受けることはできません。欧州連合商標の出願人が、英国についても保護を求める場合には、移行期間経過後9か月以内に、欧州連合商標出願と同一の商標について、その指定商品及び役務の範囲内で英国に国内商標登録出願することができます。当該出願が、移行期間経過後9か月以内になされた場合には、欧州連合商標の出願日、優先日等を維持することが可能となります。

(5)欧州連合商標を領域指定している国際登録であって移行期間終了時点で保護決定されていないものについては、上記(4)と同様の取扱いになると思われます。

 移行期間の終了までまだ期間がありますので、これから欧州連合商標を出願すれば、英国国内商標の移行登録のメリットを受けることができる可能性が十分あります。現在、英国又は欧州連合への商標出願を検討されている場合は、早期の出願を推奨いたしますのでご相談ください。

 その他ご不明点がございましたら、お気軽にお問合せください。

【お問い合わせ先】
弁理士法人 藤本パートナーズ 
TEL 06-6271-7908  FAX 06-6271-7910
意匠部部門長 弁理士 石井 隆明(E-mail: t.ishii@sun-group.co.jp
商標部部門長 弁理士 白井 里央子(E-mail: r.shirai@sun-group.co.jp

以上

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