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2017年度 SUN・GROUP 海外出張速報

2017年12月21日

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『2017年度 SUN・GROUP 海外出張速報』

各位

                                                 

                                                      2017年12月
                                                      サン・グループ
                                                      副代表 藤本 周一

拝啓

 時下益々御清栄の段お慶び申し上げます。

 さて、サン・グループ(藤本昇特許事務所 ㈱ネットス ㈱パトラ)は、毎年海外における現地の新しい知財情報の入手や現地代理人事務所評価のため並びに海外提携事務所の弁護士や弁理士との人的交流並びに国際カンファレンスへの参加と現地特許庁訪問等を目的に海外に弁理士やスタッフを派遣出張させています。

 本年度の海外出張(5回)が終了したのを機に、企業に役立つトピックスや現地情報を速報として皆様にお知らせします。

 

【本年度の海外出張先】

(1)9月5日~7日         CPAC (旧PIAC)2017 (中国 北京開催)参加

(2)9月4日~6日        中国代理人事務所訪問

(3)10月22日~29日        ドイツ代理人事務所と欧州特許庁訪問

(4)11月20日~24日        タイ・ベトナム代理人事務所とタイ知財局訪問

(5)11月30日~12月1日    中国代理人事務所訪問

 

◆  中国知財情報 

1)中国企業は日本への出願メリットは低いと考えている

    日本の市場性と日本の知財訴訟における損害額の低さ

2)中国企業と外国企業との訴訟

    北京管轄の訴訟において、2015年度は外国企業の勝率100

3)中国における訴訟件数・損害賠償額は上昇

    訴訟件数は万単位、賠償金額は1000万元以上もある

4)CPAC

  ・CPACは活気があるが、日本人や日本企業の参加は少ない

  ・CPACではAIのセミナー多数あり

  ・特許データべース:CNIPRは来年1月に大幅バージョンアップ予定

  (5) 最近の中国政府の厳しい管理下で、審査官、審判官、裁判官への個人的な接触がより厳しく制限されているのが実情とのこと

CPAC会場内と晩餐会の様子>

◆  ドイツ知財情報

ドイツ訪問では、現地ドイツ企業数社との意見交換会を開催。GUIの出願戦略、職務発明についての意見交換、事務所の中谷弁理士が日本の化学分野の進歩性判断の動向についてプレゼンする。

<欧州特許庁>

 

◆  タイ知財情報

(1)タイ知財局(特許庁)で特許局部長及び意匠局部長と面談

(2)タイ知財局の特許部は、23年前から特許部と意匠部に分けると共に審査官増員、審査期間短縮

(3)タイと日本との間でPPHが利用可となっており、これの利用が有効とのこと

(4)米国、EPC等の特許に基づいた修正実体審査も審査促進に有効とのこと

(5)小特許(Petty Patent)は進歩性を要求されず、登録まで短期間(2-3年)のため、利用価値ありとのこと

(6) 権利者が新聞広告で自らが権利者であることを広告することが、侵害者への牽制になるとのこと

(7) 意匠の物品の部分の保護については、意匠の説明に記載して、太線と細線で描き分けることも一手法

ただし、意見が分かれているため、前記のような出願を行う場合は、事前に現地への確認が必要

(8) タイの日本企業で苦労するのは、タイ人従業員が企業秘密を悪意なく漏洩すること

(9) タイでは技術移転やM&Aの決裂の際、知財紛争となる

(10) ラオスでの調査は現状では精度が低いとのこと

(11) ハーグ協定に加盟する計画があり、2020年を目指しているが、2-3年は遅れるだろう、とのこと(タイ特許庁意匠部部長)

(12) 権利化されていない形態の保護(トレードドレスのようなもの)については、法制はないものの、需要者の混同を招くような製品に対しては、権利行使ができる可能性があるとのこと(タイ代理人)

<タイ知財局 特許部長・意匠部長と面談>

 

◆  ベトナム知財情報

(1) 実用新案(Utility Solution)は、進歩性を要求されず、また技術評価制度はないため、利用価値があるとのこと

(2) ベトナムは、中国と他のアジア諸国との侵害品の流通の中間地点にあるため、税関の活用は重要とのこと

(3) 日本企業はベトナムでの模倣品対策に強く関心を持つべきとの指摘あり

(4)早期権利化対策として、①PPH、②修正実体審査、③ASPEC Pg.、の順で有効であるとのこと

(5) トレードドレスは、タイでは保護が認められていないが、ベトナムでは保護できるとのこと

(6) ハーグ協定への加盟の予定はないが、議論が始まったところであるとのこと

(7) ミャンマーで特許出願の受付は終了しており、10月に出願できたが、現時点では全く受理してもらえないとのこと

(8) ベトナムでは、行政ルートでの取り締まりが一般的ではあるが、事前に情報が漏れて、当日現場で侵害品が店頭から消えていたことがあるとのこと。公証人に侵害品の証拠の公証を得るために現場に出向くが事前に情報が漏れ取り締まりに繋がらなかったこともあるとのこと

 

<INVESTIP INDUSTRIAL PROPERTY>

 

 

◆  タイ・ベトナムにおける権利保護とリスク

タイには「Petty Patent」という制度があり、ベトナムには「Utility Solution」という制度がある。

一方、両国には部分意匠制度はない。

したがって、例えば全体のデザインを意匠権で保護しつつ、特徴ある部分を上記「Petty Patent」や「Utility Solution」で保護することで、製品を多面的に有効に保護することができるのではないかと考える。

 

1)権利行使されるリスク

両国ともに模倣被害が多数発生しているため、日本企業がどのように模倣対策するかが議論となることが多い。

一方、日本企業にとっては両国国内で権利行使されるリスクも気になるところなので、現地代理人に意見を求めたところ、

「両国ともに権利行使されるリスクは、相当低いと考えられる。」とのこと。理由としては、以下の2つが挙げられる。

 

① 両国国内の企業による出願は、まだまだローテクであって特許性に乏しいと考えられる。

② 外国企業(JP含む)からの権利行使は一応考えられるが、現状の両国では、特許の紛争自体がほぼない。

 

2)特許制度の活用方法

両国での知財紛争は、商標権に関するものが大半であるところ、特許や意匠に活用方法がないのか気になり、現地代理人と意見交換したところ、タイには「Petty Patent」という制度があり、ベトナムには「Utility Solution」という制度がある。これらの制度は、実体的要件として新規性のみが求められ、しかも、物の発明だけでなく方法の発明も、保護対象となっている点で利用価値があると思われる。

 

◆  サン・グループの海外知財戦略

(1) サン・グループは、企業の海外進出や国境なき技術革新、さらには海外企業とのM&A等企業が今後益々海外を重視する経営戦略を踏まえ、より一層強力に企業の海外の知財支援を強化致しますので、来年度も宜しくお願い致します。

 

2 201811日より「藤本昇特許事務所」は法人化に移行し、「弁理士法人藤本パートナーズ」として新たな第一歩を始動致しますので、何分にも宜しくお願い致します。

 

【本件に関するお問い合わせ】

サン・グループ 副代表  藤本 周一

TEL 06-6271-7908 FAX 06-6271-7910 MAILinfo@sun-group.co.jp

敬具 

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