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要注意!新規性喪失の例外適用について(重要)

2017年08月17日

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 『要注意!新規性喪失の例外適用について』(重要)

各位

2017年8月
サン・グループ 代表
藤本昇特許事務所
所長 弁理士 藤本昇

拝啓
 貴社益々ご清栄の段お慶び申し上げます。
 さて、意匠の新規性喪失の例外適用について審査基準が改訂され、平成29年4月1日以降その運用が変更されていますので要注意です。
 一方、新規性喪失の例外適用との関係で無効の判決もなされていますので、出願人(権利者)としてはさらに要注意です。
 そこで今回のサン・グループニュースは、実務上重要な新規性喪失の例外適用について案内致します。

 

第1.  特許・実用新案について

1.特許・実用新案の新規性喪失の例外規定については、平成23年の特許法30条の改正により適用対象は拡大されると共に出願人自ら作成した証明書だけでも同30条の適用を受けることができます。

2.一方、出願前に同一の発明について複数回公開された場合には、原則としてそれぞれの「公開の事実」を「証明する書面」を提出しなければなりません。
但し、上記手続を行った発明の公開以降に公開された発明であっても、手続を行った発明の公開行為と密接に関連する公開行為によって公開された発明(例えば出願人が商品を販売したことによって公開された発明とその商品を入手した第三者がウェブサイトにその商品を掲載したことによって公開された発明等)等については証明書の提出を省略できます。

 

第2.  意匠審査基準の改定(平成29年4月1日)

1.出願人の行為による公開
  出願人の行為に起因する公開の事実は、原則として、すべてを証明書に記載する必要があります。

2.第三者による公開

  第三者による公開は、出願人の公開行為に基づくことが明らかである場合は、証明書に記載する必要がありません。

3.出願人の複数回公開と例外適用

 

3. 大阪地裁平成28年(ワ)第298号事件

1.裁判所の判断

「争点(2)について、Q1生活協同組合チラシを新規性喪失の例外規定の適用の証明書として提出していたが、実用新案の出願日より前である同年9月22日以前に、Q2コープ連合に対して納品され、またQ2コープ連合においてそのチラシに掲載されて販売され、同年10月10日には、被告において市場で取得されていた。Q1とQ2は日本生活協同組合連合会の傘下にあるが、それぞれ別個の法人格を有し、販売地域が異なっているばかりでなく、それぞれが異なる商品を取り扱っていたため、Q1生活協同組合における販売行為とQ2コープ連合における販売行為とは、実質的に同一の販売行為とみることができるような密接に関連するものとはいえないので、原出願日より前から公然販売されていたことになり、新規性を欠き特許無効審判により無効とされるべきもの」と判断されました

 

2.上記ケースにおいては、発明を複数回公開した場合に、新規性喪失の例外規定を受けられる公開について、それぞれ新規性喪失の証明がなされれば適用を受けることができ、また公開行為と密接に関連する公開行為については証明書を省略できますが、上記のように公開主体が異なる場合には認められないので要注意です。

証明書の省略の判断が難しい場合には全ての公開について証明書を提出した方が良いと考えます

 

4. 商品や製品の販売前の納入行為や商談行為(販売の申出行為)と新規性喪失

1.出願前の行為

通常出願前に新商品を展示会に出品したり、新聞等に掲載したりする場合が多々ありますが、この場合には前記新規性喪失の例外適用を受けて出願することが可能であります。

しかるに、販売前に取引先に新商品の説明のための商談や新製品を納入する等のケースも一般的に行なわれている事実があります。

 

2.販売のための製品の納入行為(東京高裁昭和60年3月29日判決)

「発明の出願前に、同発明の実施品と考えられる装置が第三者に納入された事案において、同装置が外部より観察しただけでその構造及び性能を知りうるものであったことや、譲渡人と譲受人との間に同装置を第三者に秘匿すべき旨の約定がないことに鑑み、本件特許出願前右各装置は秘密を脱した状態で譲渡され、またはその技術思想は右各引渡によって秘密状態を脱したことが明らかであり、特許法29条1項1号、2号にいう公知、公用のものであったというべきである」と判示しました。

 3.出願前に発明の実施品を製造するための図面を特定の業者に開示した行為(東京高裁平成12年12月25日判決)

『発明の出願前に、開発がらみの引き合いのために発明の実施品を製造するために必要な図面を特定の業者に開示した事案につき、「発明の内容が、発明者のために秘密を保つべき関係にある者に知られたとしても、特許法29条1項1号にいう「公然知られた」には当たらないが、この発明者のために秘密を保つべき関係は、法律上又は契約上秘密保持の義務を課せられることによって生ずるほか、すでに昭和58~59年当時から、社会通念上又は商慣習上、発明者側の特段の明示的な指示や要求がなくとも、秘密扱いとすることが暗黙のうちに求められ、且つ期待される場合においても生ずるものであったというべきである』と判示し、特定の関係がなければ新規性を喪失することになると判断しました。

4.商品の販売のための商談行為 (販売の申出行為)

通常、新商品を販売するために 商品説明等販売のための商談行為をするのが常習化されていますが、この行為が出願前であると法律上「販売の申出行為」に該当し、新規性を喪失する可能性があります

この商談行為が上記判決が判示されたように法律上又は契約上明示的な秘密保持義務がある場合や社会通念上又は商慣習上、秘密扱いとする暗黙の同意があれば公開されたことにはなりませんが、現状はこのような法的関係が少なく且つその立証は困難です

よって、第三者が前記商談行為を理由に無効の主張等がなされた場合には、権利者としてはその反証が必要となるため、でき得る限り出願前の面談を禁止するか、あるいは秘密保持契約を締結する等のリスク対策が必要且つ重要となりますので要注意です

 

5. むすび

1.今回のニュースは新規性喪失に関する情報でありますが、この点は無効理由にもなり得ますので出願人・権利者としては、でき得る限り全ての公開前に出願することを推奨します。しかし、止むを得ない場合には最初の公開時(商談も含む)並びに複数公開時をもって新規性喪失の例外適用を受けることが得策です。

 

2.尚、本件の新規性喪失の例外適用について御質問や御相談がございましたら、藤本昇特許事務所の中谷弁理士(特許関係)、野村弁理士(意匠関係)に御相談下さい。

 

【本件に関するお問い合わせ】

株式会社パトラ (藤本昇特許事務所)  担当 : 藤井 優子

TEL 06-6271-7908 / FAX 06-6271-7910 E-MAIL : info@sun-group.co.jp

 

敬具

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