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弁理士藤本昇のコラム

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[コラム]サン・グループからのメッセージ(企業の知財部への警笛)

2008年08月20日

 弁理士生活38年、特許事務所を34年経営し、その間グループ会社として知財情報会社ネットス及び知財教育会社パトラを設立し、サン・グループの代表として活動してきたが、最近のこの知財業界について一言申し上げたい。

 一般的にこの知財業界においては、電機業界のような知財大手企業(知財部員数百人)と、大手企業ではあるが知財部員が数名又は数十名の知財中堅企業と、知財担当者しかいない中堅中小企業とに大別できる。

 しかるに、前記知財大手企業は別としても(あるいは企業によっては含まれるが)、真の企業経営のための知的財産戦略や知財経営を行っているのであろうか、極めて疑問である。

 政府の知財戦略本部の設立後、知財に関する意識高揚は高まり、知財情報は普及したことは事実であるが、企業の経営者の知財意識は本当に高揚したかは疑問である。

 特に、前記知財の中堅企業や中小企業にとって政府や公共団体等が意識づけている程、知財が経営に密着し、企業経営に役立っているとは必ずしも思えないのである。

 前記知財大手企業ですら大量の出願を行い権利化することが知財部の役割であると認識している企業も未だ多数存在し、大量出願のため特許事務所に安価で依頼し、特許事務所も安価で受任しているのも事実である。

 企業にとって真の知的財産権の価値とは何か。知財部や知財部員の真の目的、使命とは何か。今これらが問われているのである。

 企業はビジネスを行うのが目的である以上、ビジネスに障害となる権利がないことの保証やビジネスを独占できる高価値化権利の獲得、グローバル化の中での海外での模倣防止策やリスクマネジメント等、企業経営にとって有用な知財戦略を構築することが最重要課題であると同時に知財部や知財部長の使命である。

 私は弁理士として弁理士業界を見ると、大量の弁理士が合格して大量の弁理士が誕生している一方、未だ大量出願型事務所が数多く有り、安価に受任して権利化業務のみを行っているのが大半である。

 今後、グローバル化で企業間競争が益々激化する中で、真の知財戦略とは何か。企業の事業、研究開発、知財の三位一体の体制作りが急務であると同時に知財部長や知財担当者は企業経営の中で如何に知財戦略があるべきかを真剣に考える時期であることをここに警告する。

 知財は企業活動の中で生かされるものであって、知財のみが独立して存在するものでは決してない。パテントトロールは真の経済活動を阻害するものである。

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