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弁理士藤本昇のコラム

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[コラム]アメリカにおける特許偽表示事件多発(日本企業も厳重注意)

2010年11月12日

 さて、最近、当事務所に来所された米国弁護士によると、連邦巡回区控訴審判決を機会に、米国国内において特許虚偽表示を理由とする提訴事件が多発し、企業に多額の罰金が科せられるケースがあるため、日本企業も注意すべきであるとのコメントをいただきましたので、その概要をお知らせいたします。

1.米国特許法第292条(特許虚偽表示)

(1) 第292条は、『公衆を欺くことを目的として、特許対象外のいかなる物品に対しても「特許」という語またはその物品が特許対象であることを示唆する語や番号を表示、貼付、あるいは広告に使用する者は・・・かかる違法行為それぞれについて500ドル以下の罰金を科されるものとする』と規定している。

(2) 上記規定が適用されるためには、1)特許対象外の物品への表示と 2)公衆を欺く意志の2要件が必要であるが、具体的には、特許発明の技術的範囲(クレーム範囲)に含まれていない物品への表示や、特許権が消滅しているにもかかわらず特許表示する行為などが含まれる。

2.米国連邦巡回区控訴審判決(2009.12.28判決)
   The Forest Group, inc. V.Bon Tool Company事件

(1) 本件事件においては、建築用の改良ばね支柱に関する特許(USP.5645,515)に対し、テキサス南部地区連邦地裁は、被告ボンツール社の支柱は特許権を侵害しないこと、原告フォレスト社が同社の支柱に対し虚偽の「515 特許表示を付した」を認定して、虚偽表示の単一違法行為にあたり500ドルの罰金を科した。

(2) 罰金は物品ごとに科される!
「特許法第292条の罰則は物品ごとではなく、虚偽表示に向けたそれぞれの決定ごとに科される」と解した地裁判決に対し、控訴審は「物品ごとに罰金が科されることである」と判決し、地裁の認定を覆した。
その結果、『公衆を欺く目的で特許の虚偽表示がなされた物品それぞれが292条の違法行為を構成することとなり、物品ごとに、500ドル以下の罰金が科される』こととなった。
よって、大量生産される物品については、物品数量によって巨額な罰金が科されるおそれもあり得ることとなった。

3.日本企業の要注意事項

(1) 特許の虚偽表示がなされないように厳重注意すべきで、特にクレーム内に属しない物品に特許表示をすべきでない。この点は知財部が厳重管理すべきである。

(2) 特許権が存続期間満了等によって消滅した後の特許表示の管理について厳重注意を要する。

(3) 物品ごとに500ドル以下の罰金が科されると、物品の数量によっては巨額な罰金額となるため厳重注意。

※日本企業にとってアメリカでの特許表示について虚偽表示になっていないか否かを含めて至急アメリカでの調査が必要である。

尚、不明な点は藤本昇特許事務所の国際担当弁理士である小山雄一に御連絡下さい。

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