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弁理士藤本昇のコラム

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[コラム]模倣品や接近品の多発と法的対策

2021年08月03日

1.はじめに

 最近、藤本パートナーズに他社の模倣品や自社商品(先発商品)に接近した類似品が出現していることにより、取引上・営業上被害や損害が発生しているため、「なんとか法的に禁止させられないか」との相談が多発し、現に知財紛争事件に至っているケースが多い。

2.法的対策

 上記ケースで法的に対処するためには、大別して産業財産権による権利行使と不正競争防止法による対応、さらには著作権侵害を理由とする対応が考えられる。

(1)産業財産権による対応

 特許権、実用新案権、意匠権、商標権としての産業財産権を保有している場合には、その模倣品や接近品がこれらの権利を侵害しているか否かによってその対応策が異なる。

 産業財産権を保有している場合には、模倣品であれば通常侵害しているケースが多いが、相手企業も模倣ではなくその権利範囲を回避した接近品を後発として製造、販売しているケースが多い。
この場合に、その接近品が本当に産業財産権の権利範囲を回避していることが客観的に明らかな場合には、これらの権利行使は困難であるが、侵害成否の判断は極めて難解な場合があるため、この分野に強い弁理士や弁護士の判断が必要である。
この判断時に特許権や意匠権を所有しているにも関わらず、特許請求の範囲の記載が無用な限定的記載がある等権利のリスクがある場合、さらには意匠権の出願の戦略が誤っていて意匠権のリスクがある場合等、権利のリスクが権利行使時に判明する場合があるので出願前の権利範囲対策が重要となる。

 次に、産業財産権を保有していても権利侵害とならない場合には権利の行使ができない他、これらの権利がない場合にはむろん権利行使不可である。

(2)不正競争防止法2条1項3号(商品形態の模倣)

 産業財産権がない場合であっても新規な開発商品の模倣や接近品が市場に出回った場合には、本条文によって商品の差し止め等を請求することは可能となるケースがある。
但し、自社商品を最初に販売した日から3年以上経過している場合や相手方製品が模倣して自社商品と同一又は実質的にも同一形態でない場合には、本条文は不適用となるため要注意。

(3)不正競争防止法2条1項1号(周知な商品等表示)

 産業財産権が存在しなくても自社商品の特別顕著性によって周知な商品等表示として商品形態や包装形態が広く知られている場合には、本条文を適用して相手方商品の差し止め等が可能な場合がある。本条に関する相談が非常に多く、また訴訟事件も増加傾向にある。その理由は、産業財産権の不存在、産業財産権は存在するが権利侵害不成立、さらに広告宣伝等によってヒット商品となった場合等、本条によって不正競争違反として主張するしかない場合にこの規定を適用しようとするが、安易にその違法性が認められるものではないので要注意。

3.先発企業の役割

 先発企業としては、模倣品や接近品が出現することを予測して産業財産権の権利化を考えるべきである。
特に先発企業としては、如何に産業財産権による広い権利化によって独占、排他により市場独占と高収益化を図るかが論点である。そのためには、出願前の戦略が重要であって権利化のみを目的として出願するのではなく、如何に企業ビジネスに価値のある権利化を図るかが最重要で、そのことを理解している弁理士や特許事務所に依頼することも重要である。また、侵害訴訟の経験のある弁理士に依頼することも重要である。

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