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弁理士藤本昇のコラム

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[コラム]先発企業と後発企業の優位性戦略

2021年07月08日

1.はじめに

 国内外ともに企業間競争が激化し、各企業が独自に新規分野への進出やM&A戦略、さらにはAI、IoT、DX等IT技術を活用した新技術戦略を行っている。
 その中で、次世代型技術や新規事業等競合他社に比し先発優位の戦略を実践している他、先発に対し後発が取り得べき技術や知財戦略を実践して後発優位の戦略を図っている。

2.先発優位性

 一般的に先発と後発の優位性について検討すると、先発は本来多額の投資を行って技術開発を行う以上、本来なら優位でなければならないのであるが、その知財戦略を誤ると後発に逆転され不利となる場合がある。
 特に技術力においてオンリーワンの技術力のある中堅・中小企業が先発で先行しながら、後日後発の大手企業の参入によって市場を奪われる等の事態が生じることは往々にある。
 いずれにしても、先発が優位なケースとしては、下記場合がある。

①先行して市場を獲得可
 市場を先行して独占化が可能となる。

②先行して特許権等で参入障壁を形成可
 後発を排除するために先行して特許権や意匠権等知的財産権によって参入障壁の構築可。

③生産性の先行可
 先発企業としては独自な製造技術で生産性の向上を図り先行可。

④標準化・規格化の先行可
 業界内において標準化や規格化のために先行して優位性の獲得可。

⑤ブランドの周知化
 先発は自社ブランドで市場に先行参入することによって、ブランドによる市場の周知著名化が可。

 上記のように先発企業は、新たな市場に先行、且つ独占的に参入して市場の独占化による高収益化が可能となるメリットがある。さらには、知的財産的にも第三者にライセンスを許諾する等によってライセンス収益を得ることも先発の優位性となる。

3.後発優位性

 一方、後発企業にとっては、先発が先行して技術開発や先行製品を市場に投入しているため、先発の技術や製品を参考にでき技術開発を一から行う必要がない等、下記優位性がある。

①開発投資や開発力が少なくてよい(技術力)
 前記のように先行技術や先行製品が存在するため、一から投資することなく先発の技術や製品を分析して後発としての差別化製品や差別化技術の開発が容易となる。

②市場の追従(市場)
 先発が市場を形成しているため、その市場にフリーライドできるので初期の広告宣伝活動費が少なくて済む等のメリットがある。

③先発の問題点の改良・改善可
 先発の技術や製品の問題点を予め市場調査等によってサーチ可能なるため、これらの問題点等を検討したうえで改良した付加価値のある新たな差別化技術や製品を生み出すことが可。

 上記のように後発は、先発の技術や製品、市場の動向を読み取り、後発としての差別化技術や製品を市場に投入できるメリットがある。

 先発か後発か、いずれの場合にもメリット、デメリットがあるが、本来なら先発が戦略を誤らない限り、先発が優位であることに変わりはない。現在、その企業が業界内においてどのような位置付けなのか、あるいは事業分野や技術分野においては先発であったり、後発であったりする場合があるが、いずれの立場にあっても知財による参入障壁の構築とその戦略が企業リスク上極めて重要となる。

4.先発とリスク

(1)先発の関門
 先発企業にとって最重要なファクターは、市場と技術力と知財力にある。すなわち技術的に後発が同様な技術開発が可能か否か、すなわち技術にノウハウ等のブラックボックス化できる技術があり、後発が追随できるか否かが第1の関門、次にこの技術や製品を特許や意匠等による知財の参入障壁の形成により後発が参入できない強固な障壁の構築となっているか否かが第2の関門である。
 これらの関門が打ち破られるならば、容易に後発が市場に参入してくることになるため市場の独占化が困難となるので、先発企業はそのための強固な盾を構築できるか否かにある。

(2)先発のノウハウ(営業秘密)
 先発の技術がブラックボックス化してノウハウで保護されるためには、①有用な技術(有用性)、②非公開性、③管理性の三要件を法律上具備していることが要件であるが、一般的には「管理性」すなわち企業内でその技術が物理的及び人的に管理されているか否かがノウハウの保護で常に問われるため、先行企業がこの「管理性」を社内で十二分に確立していなければ、法的にノウハウとして認められず、後発に漏洩されるリスクがあることに注意しなければならない。

(3)先発人材の流出防止策
 先発にとって最先端技術や次世代型技術等、新規な技術や製品を開発した開発人材(発明者等)が競合他社(後発)にハンティングされる等によって流出しないような策を講じておくことも重要な課題である。

(4)知的財産権による参入障壁の構築と知財の権利範囲
 ノウハウでブラックボックス化できるか否か問わず、先発が技術開発から製品化に至るまでに開発した技術やデザインを特許権、意匠権で強力な障壁として構築できるか否かが、後発の参入を許すか否かのポイントとなる。すなわち、これが先発の生命線である。

 先発にとって強固な知財障壁を構築するか否かにはあるが、知財、特に特許、意匠、商標の産業財産権は完全(100%)な障壁は構築できないのである。しかしながら、完全に近い(90%以上)障壁は構築できるのである。そのためには単に権利化のための出願を行うことや、権利の数を求めるのでは意義がない。あくまで高価値化権利で市場や技術、製品を独占できる知財戦略が重要で全てである。そのためには、有能で実力ある弁理士に依頼することも一手段である。

5.後発のビハインド攻略法

(1)後発企業が先発企業への挑戦理由
 後発企業がリスクを負いながら先発企業の技術や製品にチャレンジする理由としては、大別すると下記理由がある。

①市場規模と将来性(次世代型技術・製品)
 先発が開発した新規技術や製品の市場規模が大きく、且つ将来性のある市場であることに着目して後発が攻撃する場合。通常、大手企業が後発となる場合にはこのケースが非常に多い。

②ヒット商品(売れ筋商品)
 先発が開発した商品が大きくヒットし、これにフリーライドして追随するケース。このケースは比較的、中堅・中小企業が多い。

(2)後発企業とその攻略法
 後発企業が先発の分野に参入するには、前記のように次の関門を打破しなければならない。

①市場の調査・分析
 先発の技術や製品分野の現在の市場規模等、市場の調査、分析によって後発として該市場に参入する価値があるか否か。さらには、世界的にこの市場に参入する後発企業数や投資金額、投資人材等を総合的に検討して市場参入の価値評価を行うことが後発についての最初の関門である。

②技術や製品の調査・分析
 先発の技術や製品に対し、技術的に製造の観点から製造が可能か否か。特に製造方法等製造技術に先発のノウハウがあるか否か等を検証して技術開発の可能性を検討する必要がある。
 製造が技術的に可能であったとしても、先発の技術(特許)やノウハウを利用しない限り採算性に問題がある等、技術的側面のみならず、経済的側面も併せて検討する必要がある。
 筆者が経験した事例では、後発として先発の製造技術(特許発明)を回避して製造することは可能であったが、先発の製造技術である特許発明を利用しない限り製造コストが高くなり、先発に対し価格面で競争(対抗)できず、結局先発企業にライセンスを許諾してもらったケースがあった。
 上記技術的観点から、先発の技術や製品と同等あるいはそれ以上に付加価値のある差別化製品を製造することが、経済的にも可能か否かの検討が次の関門である。

③先発人材のハンティング
 先発が次世代技術等最先端技術や新規事業で先行している場合に、後発としてその市場に参入したいが、その技術分野や事業分野に優れた技術者や開発者がいない場合には、先発の優秀な発明者等を特許公報からサーチして、ハンティングする方法もあり得る(人材攻略法)。

④知的財産権の障壁の打破
 次に前記市場性と技術性の関門を打破して、後発として新たな市場に参入することが可能であったとしても、次の関門である知的財産権の障壁を打破できるか否かが後発の最大かつ最後の障壁である。
 この関門を打破する攻略法としては、下記点を検討しなければならない。

a.先発の知財情報の調査・分析(第1ステージ)
 先発企業としては、新技術や次世代技術、さらにはこれらの技術に基づき製品化した製品について、特許、実用新案、意匠、商標の知的財産を保有しているのが通常であるため、後発企業は先発企業からの知財攻撃に対抗でき、そのリスクを軽減ないしは回避できるか否かが最大の関門となる。
 よって、後発としては開発前にこれらの知財情報を全て入手すべく調査したうえで、パテントマップ化やデザインマップ化して可視化し、その権利内容を事前に検討する必要がある。但し公開特許は出願日から原則18ヵ月経過しないと公開されないため、未公開特許についても毎月ウォッチングして障害特許の有無を検証する必要がある。
 前記調査で注意しなければならないのは、市場で販売している企業が必ずしも権利保有者でない場合(例えばメーカーが権利者で、販売会社が小売業者である場合等)もあるので、「誰が権利者なのか」あらゆる観点から調査、検討する必要がある他、先発の技術が大学の先生によって開発され、大学が権利者で先発企業が事業主体となっている場合もあるため、権利者の特定があらゆるケースを想定して事前にチェックしなければならない。
 筆者が経験したケースとしては、薬メーカーと容器メーカーが共同して開発したケースがある。この場合、薬剤については、薬メーカーが特許権を保有していたが、市場で販売されている薬剤の容器(機能的容器)については容器メーカーが多数の特許権と意匠権を保有していたケースがある。
 いずれにしても第1ステージとしては、先発の技術や製品等に関する知的財産情報、特に特許と意匠の情報について有効な権利を徹底的に入手して分析することである。

b.先発の参入障壁と権利侵害リスク(第2ステージ)
 後発が開発した技術や製品が上記分析した先発の特許権や意匠権を侵害する可能性があるか否かの判断が最重要な判断事項で、この判断を誤ると後発が市場に参入した時に製品の差し止め請求や後日損害賠償請求の対象となり、後発企業にとって最大のダメージとなるのである。

6.先発企業と後発企業並びにこれらを支えるサン・グループ

 上記のように先発と後発がなすべき知財の重要課題は多数あるため、事前の調査、検討、判断が必要である。

 サン・グループは、特許情報分析企業のネットス、特許権や意匠権等の権利獲得や権利侵害の成否を判断する藤本パートナーズによって、先発企業や後発企業を問わず企業の立場で知財の支援者、サポーターとして既に47年間の歴史ある経験がありますので、いつでもご用命下さい。

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