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弁理士藤本昇のコラム

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[コラム]改正意匠の有効活用と企業リスク

2020年06月11日

1.はじめに

 特許法等の一部を改正する法律が本年4月1日に施行されたことにより、新たに保護対象となった「建築物」や「内装の意匠」、さらに改正された「画像意匠」について既に出願が開始され、私共「藤本パートナーズ」としても既にこれらの意匠について数十件の意匠出願を行った。

 コロナ時代で企業業績が悪化している中で企業間競争が益々激化することになり、世は正に「生きるか」「死ぬか」の時代が到来したのである。

 このような時代には、技術はむろん製品について競合他社に先取りして権利化し事業独占するための知財戦略が益々重視されるとともにそれを支援する弁理士や特許事務所の実力が問われる時代となったのである。

2.「画像意匠」

 画像意匠は、旧意匠法2条1項で表示画像とし、同2項で操作画像として保護されていたのであるが、あくまで物品と一体不可分であった。

 しかるに今回の法改正によって物品から離れた画像自体が「画像意匠」とし保護対象となったため、画像自体の意匠権が成立することになり、これが意匠権の範囲を拡大すること(物品を離れる結果)になるので、画像意匠を登録する価値は大となった。

3.「建築物の意匠」

 従来、不動産は意匠登録対象の物品の範囲外で保護されていなかったが、今回の改正によって「建築物の形態」等の意匠が登録可能となった。

 これにより建築業界,住宅業界,建築デザイナー等にとっては、非常に有効な知財戦略として活用できるので早期に新たな建築物等の意匠の保護を検討し出願する必要がある。

 特に模倣や類似の建築物が他社に建築されたり、販売されたりすることをより早く阻止する必要があるためである。

4.「内装の意匠」

 今回の法改正によって店舗,事務所等の施設の内部の設備や装飾を内装全体として統一感がある場合には、内装意匠として登録可能となったため、家具業界,インテリア業界,カーペット業界,インテリアデザイナー業界等にとっては、非常に価値のある権利化が可能となった。

 内装は物品としての車両の内装等も保護可能であるため、早期に内装関係企業は出願戦略を検討すべきである。

5.関連意匠制度の改正

 関連意匠は、今回の改正によって本意匠の出願日から10年以内であれば出願可能であるため、実務上デザインのモデルチェンジや改変等に有効活用できる結果、実務上は非常に重要である。

6.意匠権の存続期間

 「設定登録日から20年」が「出願日から25年」に改正されたため、ロングランヒットのデザインの保護等には非常に有益である。

7.その他、物品の区分の見直しや間接侵害規定の拡大化等の法改正もあるが、特に上記改正テーマが実務上の戦略として非常に重要で有効活用すべきである。

8.企業リスク

 前記のように「画像意匠」「建築物の意匠」「内装の意匠」が新設又は改正され保護対象が拡充したことにより、既存企業の事業活動が制約又は阻止されないよう、先使用権の拡充のために証拠保全等の証拠の収集は今からやるべきで、これが企業リスク対策として重要である。

 「何をやるべきか」は、藤本パートナーズの意匠部又は弁理士藤本昇に御相談ください。

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