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弁理士藤本昇のコラム

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[コラム]海外の模倣品の輸入差止と税関等の対策

2018年09月06日

1.最近の模倣品の動向

 最近、サン・グループの依頼企業から「メルカリ」や「ヤフーオークション」等のネット上の取引市場で模倣品が売られており大変損害又は迷惑を受けているとの相談を受けることが多くなっている。

 これらの模倣品は、中国等で製造されている商品や中国国内で販売されている商品で、いずれもそれらの模倣品は大量ではなく少量(例えば5個~20個程度)国内に輸入されている。しかも少量であるため、税関としては個人使用であると説明すると、産業財産権を侵害しないことになるため、税関での差止ができない状況にある。

 一方、前記少量の模倣品の輸入は1回ではなく、その後も繰り返し少量輸入(ショットガン方式)して国内の「メルカリ」や「ヤフーオークション」等で販売されるため、権利者には事実上大きな損害となるのである。

 

2.輸入差止申立制度

 一般的には、日本国内の特許権者・意匠権者・商標権者等は税関に対し侵害品の輸入差止申立書を提出して輸入差止めの認定手続を行うのが大原則である(関税法69条の12及び同13)。この申立手続をしていれば、税関がその輸入品が侵害品か否か発見し、その後認定手続を開始し認定を行い、侵害品と認定した場合にはその輸入品は税関で差止されることになる効果がある。

 

3.ショットガン方式の輸入品

 模倣品であることは明らかであっても、前記のように少量で個人使用として輸入されると、権利侵害を構成しない(権利侵害の前提として「業とし」との要件がある)ことになるため、税関としては輸入を認めざるを得ないのである。

 しかしながら、ショットガン方式の場合は特定の個人が少量づつ繰り返し国内に輸入し、それをネット上で販売して利益を得ることを目的としていることは明らかであるが、税関としては法的にこれの輸入差止が困難な現状化にある。

 

4.ショットガン方式の模倣品対策

 ショットガン方式で輸入してネットで販売されてもネット上には販売者名や輸入者名が一切掲載されていないため、輸入者と販売者の関係を特定できないのが現状である。

 そこで、私共は警察の生活安全課に相談しました結果(過去にも複数回相談経験あり)、前記ネット上の掲載者を警察が調査することが可能であると説明され、現在これらの掲載者を特定しているとこである。

 これらの掲載者が特定され、その掲載者と輸入者とが一致又は関係者であることが判明すると、個人使用による輸入ではなく業としての輸入行為に該当し、法的に権利侵害となるため、輸入を差止することができることになるのである。

 

5.今後の対策

 今後益々ネット上の取引が増加する傾向にあるため、模倣品が海外からショットガン方式で輸入されて販売されるケースが増加するであろう。

 これらの模倣品に対しては、企業として第1に税関に輸入差止申立書を提出すること、第2に輸入された模倣品がネット上で販売されていることを発見した場合には、私共(藤本パートナーズ)のように日々模倣品対策を実践している弁理士や事務所に御相談下さい。

 

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