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弁理士藤本昇のコラム

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[コラム]多発する知財紛争とその発生要因

2017年05月16日

1.多発する知財紛争

 ここ数年来、企業・特に大手企業は、特許権・意匠権・商標権等産業財産権について保有するのみでは事業に貢献していないことを危惧し、産業財産権を活用する方向に転換している。

 この結果大手企業のみならず、中堅・中小企業も事業戦略上、他社の類似品や接近行為に対し積極的に権利行使する事態が多発し、これが知財紛争の要因となっている。

2.権利行使と権利態様

(1)①特許権②実用新案権③意匠権④商標権等の産業財産権による権利行使の他、著作権・さらには不正競争防止法に基づく紛争も多発している。

(2)産業財産権の権利行使の争点は①侵害成否と②無効性についての2点で、いくら特許権が存在したとしても、その権利範囲が狭く他社製品がその範囲に属しない場合も数多くある。

 この原因は、出願人や代理人が権利化のみを目的とし、その権利範囲(特許請求の範囲の記載内容)を軽視している場合があるからである。

 折角重要な発明(基本発明)であったとしても特許請求の範囲の記載によって大きく権利範囲が左右される、価値のない権利となる場合があることを忘却してはならないのである。

(3)このことは意匠権についても同様で、意匠特有の制度である部分意匠や関連意匠・さらには秘密意匠を如何に有効活用して権利化するかを出願前に検討して出願戦略を行っているか否かが重要である。特に意匠は類否が最重要課題であるため、意匠の専門弁理士に依頼することも重要である。

(4)同様に、商標についても使用商標の態様を考慮した商標の出願戦略と指定商品の選定戦略が重視され、これが権利範囲を大きく左右するのである。

(5)さらに、ここ数年前から不正競争防止法第2条第1項第1号(商品等表示性)や同第3号(商品形態の模倣)に関する紛争が多発しているので、要注意である。

3.知財紛争が企業に与える影響

(1)権利行使をする側(権利者)としては、知財紛争の結果勝ちパターンとなった場合には、他社製品の製造・販売を中止できる他、和解金や損害金、あるいは実施料を獲得でき、事業に知財が貢献することとなり、担当者の社内での立場が評価されることになる。

(2)これに対し、侵害者側は逆となるため、担当者の社内評価は非常に厳しくなり、場合によって数億円や数十億円の損害金を支払うことになると、担当者は首切ものである。

(3)これら知財紛争が発生した場合には、直ちに専門で経験のある弁理士や弁護士に相談して対応することが重要で、代理人の実力によっては結果が大きく左右される場合があるため、代理人の選任が勝敗(特許開発会議)を決することになる。

4.知財紛争の予防

(1)権利化前(出願前)の検討会議の重要性

    権利として他社を攻撃できる高い価値のある権利を獲得すること。

(2)製造・販売前の事前調査の重要性

(3)障害特許や侵害品等が発見された場合の侵害成否判断の重要性(実力と経験のある有力な弁理士に委任)

(4)海外における紛争予防についても事前にチェック

(5)不正競争防止法第2条第1項第1号又は第3号の該当性の判断も経験のある弁理士・弁護士に相談すること。

 以上、いずれにしても知財紛争・特に訴訟は企業にとって必ずしも経済的に優位とは限らないため、企業ビジネスを考慮して高度な経営的判断が必要である。

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