1.政治・経済の不透明化
アメリカのみならず、ヨーロッパにおいてもナショナリズムの台頭による保護主義化への傾倒が顕著化する世界において、本年度の政治・経済は不透明な時代への突入となります。
このような保護主義化が顕著になればなる程、知的財産の重要性が高まるのです。けだし、知的財産はその企業が正当化できる障壁の創設であるからです。
2.保護主義と知財力
アメリカのトランプ大統領が国内製造業の浮揚化を重視する保護主義化になると、1980年代のレーガン大統領時代のように日本企業が特許権によって多額の賠償金を支払わされた悪夢の再来が危惧されます。
3.知的財産と世界の潮流
主要五ヶ国(アメリカ・欧州・日本・中国・韓国)は、今後益々知財情報が共有化されて審査の統一化・さらには権利の相互承認化が進行し、知的財産分野は国境なき世界的なルール化に、より一層進行することになります。
特に各国の企業は、M&AやR&Dセンターの海外シフト化等、海外での経済活動を一層高めることとなり、より一層国内外の知的財産戦略を重視しなければならないのです。
正に本年度は、企業として国内外での生き残り戦略と勝ち組戦略を企画・立案・実行しなければならない知財の展開期であります。
4.サン・グループの新改革戦略
サン・グループは、本年度企業のグローバルな経済活動を強力に支援するために下記のように新たな組織作りと新たな業務体制を構築しました。
(1)特許部門
従来、国内部門と国際部門を分離して国内外の特許業務を遂行していた体制から、国内特許部門と国際特許部門の業務を一元化することにより国内の出願段階から海外出願をも予測乃至は決定したうえで、海外出願予定国(PCT出願も含む)に沿った権利化対策を事前により深く検討することにしました。
その際、技術を把握した国内担当弁理士と海外知識の豊富な海外担当弁理士が共同で作成業務を行うことにより、より一層企業の経営や事業に貢献する(利益となる)高価値化権利の獲得を目指します。
(2)意匠部門
意匠部門も従来、国内業務と国際業務を別セクションでを行っていましたが、最近の海外意匠出願の増加対策として、意匠部門内に国内業務と国際業務とを一元化して、より各国の法制や実務をスピーディに情報収集して有効な権利化を目指すことにしました。
(3)商標部門
商標部門も前記意匠部門と同様に国内業務と国際業務を一元化して、企業の国内外のブランド戦略に即対応できる体制としました。これによって国内外専門の商標弁理士が夫々共同で国内外ブランド戦略をより強固に行うことが可能となりました。
(4)国際部門
従来の国際部門のうち翻訳業務や海外での渉外業務、さらには海外代理人とのコンタクトやコントロールを、経験が豊富な国際部部門長が引き継ぎ業務遂行を行います。
この部門は既に125ヶ国以上の海外事務所と提携しており、65ヶ国以上に出願実績があります。
(5)ネットスの国際新戦略
海外でのリスク予防対策として、数年前から国内はむろん海外での特許権・意匠権・商標権侵害の調査依頼がネットスに急増しておりますが、ネットスは現在までの実績により世界的な特許等の調査網を構築しておりますので、本年度はさらにその調査網を新興国を含めて拡充します。