新年あけましておめでとうございます。
今年で弁理士人生38年目に突入しますが、昨年を振り返って思うことは、政府の知的財産戦略本部が創設されてから早や約6年を経過しているが、我が国に本当の意味の知財政策が実行され成功しているのであろうか。
政府が「知財」の重要性をアピールする程、企業、特に中小企業(大企業の一部含む)や大学において、知財の活用が成果として生み出されているとは決して思えないのである。
知財はあくまで経済政策の一要素であって、決して全てではないのである。環境問題や原油高問題等、企業を取り巻く環境は極めて厳しいのが現状である。大学においてもTLOの成果に疑問があるのみならず、大学、特に先生方の知財マインドやベンチャースピリットは決してアメリカほど浸透していないのである。
このような各種現象を捉えると、知財はブームにはなっているが、ややもすればバブル現象になっているのではないだろうか。
これらの現象の要因は、政府(特許庁)のみならず司法(裁判所)や企業の知財関係者、さらには弁理士に責任があるのではないかと考える。
企業は量から質への転換と称しながら未だ大量出願で競争している他、弁理士は極めて安価な手数料で大量出願を受任している他、民事裁判所においては無効の判断がなされ、判決では権利者が8割敗訴するというアンチパテント的な現象が起きている。 さらに特許庁の審査・審判も不統一でアンバランスな審理現象が発生しているのである。
このような状況に鑑みると、今年は政府(行政)のみならず司法や企業、弁理士も含めて我が国における「本当の、あるいは真の知財政策とは何か」を再認識して反省したうえで政策実行すべきである。
今後、グローバル化の中で企業は、市場のワールドワイドに競争しなければならない現在こそチャンスであると同時に企業にとっては企業価値を問われる死活問題である。
企業価値とは何か。「技術力」、「創造力」、「人材」等、正に無形資産こそ企業成長の活力源となるのである。
企業にとって有益な知的財産権を保有し、これを有効に活用することこそ企業の生命線とキーワードである。
藤本昇特許事務所では、昨年1年間の産業財産権の侵害訴訟判決で、6勝ゼロ敗という、年間の記録を達成したが、今後ネットス、パトラを含めたサン・グループは、知財を武器として企業のための構造改革と人材改革に取り組み、真の知的財産専門集団(プロフェッショナルチーム)として内外国の企業を支援することを年頭の挨拶とするものでありますので、何分にも2008年度もよろしくお願いします。