最近の企業環境は、原油高、材料高など外的要因によって極めて厳しい環境下にあり、業種によっては企業の成長力が低下し企業の生存すら厳しい状況下にある。
このような状況下において、企業が生き残り戦略として、あるいは成長戦略として共通の課題は、知的創造により新規事業、新規技術、新製品の開発によるオンリーワンの企業経営戦略を構築することにあり、これが唯一の手段であると言っても決して過言ではない。そのためには、企業の知財力を強化することが唯一、最大の手段である。
企業を知財規模で大別すると、知財部員数百人規模を擁する知財大手企業と、企業規模は上場して大企業であるが知財部員が数十名前後の企業と、さらに企業規模が中堅中小企業である企業と三種に大別できる。
しかるに大半の日本企業は後者の二種類の企業である。
これらの企業において知財力を強化するためには、事業部門と開発部門と知財部門が三位一体化して事業戦略を企画、実践することである。多くの企業は、事業部門と開発部門と知財部門がそれぞれ縦割構造として組織されている結果、それぞれバラバラに業務を遂行しているのが現状で、これを打破して事業に貢献する製品開発や技術開発を行い、これを知財力をもって事業独占(他社を排除する)する戦略に切り替えるべきである。
そのためには、事業部門、開発部門、知財部門をトータル的にコーディネートできる強力な人材が必要で、その人材としては経営トップが最も適しているが、必ずしもトップである必要はない。
特許権や意匠権等の産業財産権として価値ある権利を獲得することは、自社技術や自社デザインを保護する目的と同時に他社の市場への参入を阻止し、その事業や製品を市場独占して高収益を上げることにある。
企業は社会貢献の他に利益を追求することにある以上、事業やビジネスに役立たない産業財産権をいくら数多く獲得しても意味がないのである。すなわち経費の無駄である。
今後益々企業競争はグローバル化の中で厳しくなるが、知財力を武器として世界戦略を構築するならば、その企業はオンリーワン企業として成長することは明らかである。
そのためにも、各企業は三位一体の体制を構築すべく経営トップが目覚めるべきであるとともに、有能な人材を企業の内部と外部にネットワーク化し、これらの人材の活用が企業の知財力強化、ひいては成長力強化になることにチャレンジすべきである。