改正中国専利法は、本年10月1日から施行されましたが、今回の改正点中、特に日本企業が注意すべき点について概説します。
1.意匠の定義の明示化(第2条)
意匠とは、製品の形状、模様またはそれらの組合せ、及び色彩と形状、模様の組合せについて出された、美感に富み、工業的応用に適した新しいデザインをいう。と定義された。
2.意匠の新規性について(第23条)
意匠登録を受けるための意匠は、従来の意匠に該当しないものでなければならない。従来の意匠とは中国意匠出願日前に国内外で公衆に知られていない意匠をいう。
従って、中国意匠出願日前に、例えば日本で新聞発表したり、展示会に展示したり、インターネット上に公開した後、中国で意匠出願しても登録できないので(絶対的新規性)、日本企業として は要注意である。この場合、従来意匠と類似する意匠も含まれると考える。但し実体審査はしないので無効理由になる。
3.進歩性(第23条)
意匠権を付与する意匠は、従来の意匠または従来の意匠の特徴の組合せに比べて明らかな相違がなければならない。
従って、従来公知の意匠に比しその相違点が明白でなければ進歩性なしとして登録できないため、この点も要注意であるが、具体的には審査基準を参照する必要がある。但し実体審査はされないので登録後の無効理由になる。
4.平面的意匠(第25条1項6号)
平面印刷の模様、色彩又は両者の組合せについて、主に標識として用いられるデザインについては、意匠で保護されないので要注意である。特にラベル・シール等機器に貼付する平面的印刷品であって、出所表示としての標識として機能するものは登録できない。但し平面的印刷品であっても模様が主たるデザインであれば登録可能である。
5.多意匠一出願(第27条)
同一の物品に関する2つ以上の類似意匠については、1つの出願とすることができる。従って、類似する範囲を確認するために類似意匠を最大10個の範囲内で1つの出願として出願することはメリットがある。但し非類似と判断された場合には分割する必要があると考える。
6.意匠についての簡単な説明(第27条)
意匠出願する際にその意匠についてのデザインコンセプト等の「簡単な説明」を記載した書類を提出することが義務化されたので、要注意である。
この「簡単な意匠の説明」は、登録意匠の範囲を定める際にその解釈に用いられるので、その記載については要注意である。
7.意匠権評価書(第61条第2項)
日本の実用新案における技術評価書と同様に無審査登録された意匠権について、国務院行政部門が意匠権評価書を作成することを要求でき、裁判等においてこれを証拠とすることができる。但し評価書請求人は意匠権者又はその利害関係者に限られるので要注意、被警告人は含まれない。