企業にとって特許情報は技術的、法的に極めて重要な情報にもかかわらず、十分に活用されていないのが現状ではなかろうか。
最近では大手企業では知財情報部門を設置している企業も存在するが、未だわずかな企業数である。
最近の特許情報は電子化されて自らのパソコンで利用できる等、極めて利便性が良いにもかかわらず、その利用方法や検索式が不知で十分に活用されていないのである。
このことは、サン・グループ所属のネットスへの依頼内容からも伺うことができる。
特許情報の利用は、その利用目的に応じて分類できるが、大別すると下記のとおりである。
(1) 技術・製品開発用としての利用
特許情報は、無限の技術情報の源泉であり、研究、開発時にそのシーズを発見するために、あるいは技術動向や他社の技術を知るためのツールとして利用価値は大である。
開発時に予め特許情報を分析してその情報を収集し、マップ化することによって今後の研究開発用の情報として非常に有益である。
(2) 発明の特許性判断用としての利用
発明が完成した場合に先行技術としてどのような技術が既に特許公報類で公開されているのかサーチすることによって、生まれた発明の出願可否判断や特許性判断としての資料として有効に活用できる。
(3) 従来技術特定用としての利用
明細書には従来技術を特定して記載しなければならないが、今後益々従来技術として最近似技術の記載が義務化されるであろう。
従来技術として調査のうえ最近似技術を特定し、そのうえで出願する発明との対比をしながら発明の本質を記載することが明細書記載上、より重視されるのである。そのためには出願前に特許情報の調査が必要不可欠である。
(4) 侵害性調査としての利用
特許情報は技術情報であると同時に法的情報であるため、新技術や新製品を実施化する場合に事前に侵害予防のために特許調査は必要不可欠である。
その際、検索式や方法を誤ると、調査した後、他社から権利行使される場合がある。
この調査は企業にとって侵害予防対策として極めて重要で生命線である。
(5) 競合他社動向調査としての利用
競合する企業がどのような発明(技術)を出願しているのか、常に(毎月)その動向をウオッチングすることはリスク回避のみならず企業間競争に打ち勝つためにも極めて重要である。
(6) 外国特許情報の利用
特許情報は日本のみならず世界中に情報として存在するため、これらの特許情報を有効に利用することは企業戦略上極めて重要である。但し外国特許情報についてはその情報検索が極めて専門的であるため、ネットスのようなプロの調査企業に相談することが重要。
(7) 無効資料調査としての利用
他人の特許権が障害となる場合や他社から権利行使された場合、さらには侵害訴訟が提起された場合に、その特許権を無効にするための資料調査は必須不可欠であり、しかも国内外の調査をスピーディにしなければならない。
このような調査は特許情報を的確に調査することが重要であるが、プロのサーチャーのアドバイスが必要となる。
その他、特許情報は、法的にはむろん技術的には多用な利用があるが、あくまで企業の知財戦力上、目的を明確化してスピーディ且つ正確な調査能力が必要となる。
企業内に特許情報を利用できる人材を育成することが急務であるが、一方ではネットスのような特許情報のプロ集団とネットワークを常時もっておくこともさらに重要である。