最近、日本企業から中国において自社製品のデザインが模倣されているとか、模倣されないためのリスク対策、さらには中国国内で製品を生産し全て日本に輸入しているが、中国国内での意匠権侵害問題が発生するのか等中国におけるデザインに関する相談が増加しています。
中国の意匠制度は、日本の意匠制度と異なる点も多く、その代表的な項目は中国の意匠は専利法(特許法)内で規定されており、無審査で登録される点が根本的に日本と異なります。
無審査制度で、しかも最近中国においては知的財産の権利化が一種のブームとなっており、2010年度の中国国内の意匠出願件数は421,273件で、日本の約3万件とは大きく異なります。
しかもこれらの意匠出願には日本企業の製品デザインあるいはそれに近似するデザインが意匠出願されているケースも数多くあります。
しかも、これらのデザインが中国で意匠登録されると、例え無効理由があったとしても無効審判を請求して無効化にしなければならず、その手数と費用と時間を要します。尚、無審査制度なるため、意匠の評価書を請求できますが、その請求は日本と異なり権利者又はその利害関係人に限られます。
このような状況下において、日本企業が中国で製品を生産する場合はむろん中国市場で販売する場合、さらにはネット販売する場合等は、これらの行為が意匠権侵害になる可能性がありますので要注意です。
単に中国で販売しなくても生産する行為や中国から日本に輸出する行為のみでも中国の意匠権侵害となり得るので、特に要注意。
これらのリスクを日本企業が事前に解消するためには、中国で生産又は販売する製品のデザインが中国で意匠登録されているか否かを事前に調査(侵害性可否調査)をすることである。
次に、同一又は類似の意匠が登録されていなければ自社の製品のデザインを先に中国で意匠出願し登録しておくことが重要である。
さらには中国での模倣登録を防止するために日本で刊行物に掲載するとか、日本で先に意匠出願しておくとか、さらにはこれらの公知の事実を確実に立証でき得るよう公証人の認証を得る等のリスク対策も重要である。
いずれにしても、今後中国等の新興国における自社製品のデザインや技術、さらにはブランドについて、進出予定国に先に出願し権利化しておくことが最大の防御法となるので、早期に対策を打ち出して下さい。
常にサン・グループは貴社を支援しますので御相談下さい。