本コラムが私の海外出張のため、9月~11月迄投稿できず3回お休みをいただきましたが、本年最終月のテーマとして2011年度を締めるための本年度の集大成としました。
本年度は、東北・関東大震災や円高、さらにはタイの大洪水等、企業に直接又は間接的に影響を与える出来事が多発した1年間であった。
このような企業に与える重大な出来事によって発生した共通点は、企業の早急なリスク対策にある。
本年度は上記企業環境が企業の知財戦略にどのような影響を与えたのか、あるいはこれらの環境下において企業の知財戦略は如何にあるべきか、本年度の私への企業からの相談テーマを含めてまとめると、以下の事項が重要テーマとして提言できるのである。
第1は企業のグローバル化対策
日本における生産地としての不安定化並びに円高による輸出産業の厳しさ、日本市場の需要の低下等が要因となって日本企業が益々海外に進出する傾向にある。
このことは知財戦略上、海外での技術、デザイン、ブランドの保護強化がより一層重要となる。特に中国、インド等の新興国への相談や出願依頼が急増しているため、より一層企業としての新興国における知財の保護戦略が重要となる。
第2は知財のリスク対策
上記のように企業のグローバル化が進行する中で、進出国における企業の障壁となる知的財産権の存在の早期発見化と障害となる権利のリスク対策にある。
本年度、ネットスへの海外調査依頼が急増しているが、その大半は進出国における障害となる権利の侵害性調査である。
特に最近では、東南アジアのみならず、ロシア、中東諸国、南米等特許情報が整備されていない諸国に対する調査も増加している。
企業にとって重要な点は企業活動が知的財産権によって阻害されないことである。
第3に知的人材の育成とアウトソーシング
上記のように企業のグローバル化が進行する中で、その知財業務を行う優秀なスタッフの育成が急務であると同時に、企業内の人材に限界がある場合に、如何に海外に精通し且つ実力ある調査会社や特許事務所、さらには弁理士に依頼するかである。すなわち海外に関しては調査から出願・権利化及び侵害成否の判断、さらには紛争・訴訟を一貫して総合的に支援できる外部の知財集団と常に提携しておくこと並びに常に日々相談あるいは指導が得られる態勢を構築しておくことである。
上記本年度の重大テーマは、来年以降も重要な継続テーマであるため、各企業は早期にその態勢と知財戦略を実行すべきである。
そのためにもサン・グループは、常に企業のグローバル化を総合的に支援させていただきますので、次年度もよろしくお願い致します。