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弁理士藤本昇のコラム

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[コラム]2012年度の年頭所感

2012年01月12日

 2011年度の円高傾向は、本年度さらに進行するおそれがあるとともに日本国内の市場の縮小化等複数の要因によって日本企業は益々グローバル化に対応しなければならないであろう。

 一方、知的財産分野においても、日本、米国、ヨーロッパ、中国、韓国の5ヶ国を中心とした知財のグローバル化が進行し、国内法の大改正が予測されている他、国際条約への加盟が検討されている。

 このように2012年度は、企業はむろん知財業界にもグローバルの潮流が大きく影響することになるであろう。

 グローバル化が進行する企業にとって、競争相手は国内企業のみならず海外企業、特に中国企業は重要な競争相手になるであろう。

 さずれば、本年度企業にとって特に重要な知財戦略は、大別すると下記三点にあると考える。

(1) BRICSを中心とした新興国対策

 これら新興国において、自社技術やデザイン、ブランドの保護強化を早期に行うことと、自社技術の漏洩防止対策の強化にある。さらにはこれらの国における模倣防止対策にある。

 特に企業にとって重要な課題は、新興国における、生産活動や販売活動がその国の知的財産権を侵害しないかのリスク対策にある。2011年度中国においては海外企業をターゲットとして知的財産訴訟が増加しているため、日本企業が提訴されないよう事前の対策が重要である。

(2) 国際標準化対策

 日本企業は、技術的側面やビジネスモデルに関しては世界的に優位な分野が多々あるため、こられの分野(例えばエネルギー分野や水等の環境分野)において世界的な標準化対策をトップランナーとして構築するとともに、この標準化された技術等を世界的に基本特許網を構築する戦略を早期に実施すべきことである。

 日本企業が優位な技術であっても即模倣あるいは改良されているケースが多々あるため、技術の国際標準化と該標準化対応の特許戦略によって世界をリードすることが今後益々グローバル化企業には重要となる。

(3) 国際的人財の育成

 国際的人財が企業にとって益々重要となるのであるが、ここで国際的人財とは語学力が強いという単純な人財ではなく、むしろ語学力より世界を意識したうえで自社の知財戦力を企画、立案、実行できる人である。2012年度以降は、まさに国際センスを有する知恵者が必要である。その要件としては知識のみならず感性、目利き、先見性等にすぐれた人財が必要となるのである。

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