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弁理士藤本昇のコラム

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[コラム]平成23年特許法改正 (平成24年4月1日施行)

2012年11月07日

 平成23年6月に特許法等の一部改正法が公布され、平成24年4月1日から該改正法が施行されました。

 今回の改正の目的は、権利者保護、紛争解決制度の改善、出願人の利便性にあり、その主要な改正項目と実務上の注意点は下記のとおりである。

第1 通常実施権の当然対抗制度の導入

 改正前は通常実施権は登録しなければ特許権や専用実施権を取得した者に対抗できなかったが、今回の特許法99条によって、通常実施権はその発生後に特許権、専用実施権を取得した者に対しても対抗できることとなりました。

 通常実施権は通常ライセンス契約によって発生しますので、発生日を後日立証でき得るよう契約日の確定日付を取得する等、通常実施権の存在とその発生日の立証が通常実施権者にあるため、これらの立証資料の保全が重要である。

第2 共同出願違反・冒認出願に係る特許権の移転請求権の発生

 共同出願違反や冒認出願についての登録後の特許権については、改正前であれば無効審判請求により無効にする手続があるが、今回の法改正により無効にすることなく、特許を受ける権利を有する者又は特許権者に対し特許権等の移転を請求することができることとなった(特許法74条1項)。

 しかるに特許権の移転請求は裁判所に対して行うもので、移転登録後は初めから当該登録を受けた者に帰属する(特許法74条2項)。従って今後特許出願するに際しては真の発明者とはだれか、発明者の認定が実務上重要となる。

第3 審決取消訴訟提起後の訂正審判請求の禁止

 改正前は、無効審判の審決に対する取消訴訟提起日から90日以内に訂正審判の請求が可能でありましたが、改正後は、訂正審判は、無効審判が特許庁に係属した時からその審決が確定するまでの間は請求することができなくなりました(特許法126条2項)。

しかしながら、無効審判請求に理由があると認められ、審決をするのに熟した場合には審判長は審決の予告を行うことになり(特許法164条の2の1項)、予告するときに訂正請求の機会があたえられることになりました(同法164条2の2項)。

第4 その他、主要改正事項として下記改正項目があります。

(1) 再審の訴えにおける主張の制限
(2) 延長登録無効の抗弁
(3) 無効審判の確定審決の第三者効の廃止
(4) 訂正審判及び訂正請求を請求項単位で請求可
(5) 新規性喪失の例外規定の拡大化
(6) 特許料の減免対象者の拡大
(7) 意匠登録料の引下げ

第5 以上のように今回の改正法が施行されてから6ヶ月以上経過しますが、今後これらの改正事項が企業の知財業務に影響してきますので十分に御注意下さい。

 不明な点はサン・グループに問い合わせして下さい。

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