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弁理士藤本昇のコラム

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[コラム]今後の企業知財部の役割とその業態

2013年11月07日

1.はじめに

 最近の企業活動を外部の弁理士として捉えると、第1に企業のグローバル化による海外進出の顕著化、第2に海外でのM&A等海外企業の吸収・合併、さらには提携化、第3に海外における知財リスクの増加、第4に海外における技術・デザイン・ブランドの保護対策、第5に海外企業対策としての国内企業間の連携(提携)化、第6に新規技術等のイノベーションの開発、第7に人材の国際化等従来には見られない新たな企業活動が活発化している。

 このような新たな企業活動に対して企業の知財部の使命・役割は益々重要となるが、その知財活動も従来の活動から脱皮して新たな知財活動を構築しなければならないのである。

 弁理士としての長い経験や実務経験から下記事項が今後の企業の知財活動として主要なテーマであることを進言する。

第1 知財をマネジメントできるマネジャーの必要性

 今後益々グローバル化する企業活動を知財分野からサポートするには、単なる権利化業務のみでは不十分で企業の進出国や事業内容を十分把握したうえで、トータル的な知財戦略を構築できる、すなわち知財のマネジメントができる知財部(マネジャー)が必要となる。

第2 知財部組織の国際化

 前記強力なマネジャーの下で知財部のなすべき業務を国際的観点から分析して組織化を図るべきである。例えば進出予定国における知財情報の収集・分析部門や進出国企業の保有する知財の価値評価できる評価部門、さらにはライセンスや紛争発生時の交渉ができる海外交渉部門等従来の権利化部門以外の新たな組織作りが重要となる。

第3 技術・デザイン・ブランド等の総合的な保護と活用戦力

 従来の企業知財部は、海外に出願して権利化することで目的を達成しているが、これでは企業活動に何ら有益な支援をなしているとは言えない。知財はビジネスに役立たなければ何ら価値がないのである。

 今後の知財部は、国際化の中で企業が進出する国において、如何に有利且つ優先的な位置を構築できるかの観点で知財を活用すべきである。

第4 企業の知財人の業務と外部弁理士の有効活用

 今後の知財部の役割は正に国際的知財戦略を考えることである以上、知財部員も国際化すべきである。但し国際化業務は各国によって不明な点も多々あるため、知財部は外部の有能な弁理士を活用すべきである。

 但し海外の弁理士、特に新興国の弁理士は出願業務はできても知財の活用、評価、判断は弱いため、国内の有力な国際経験のある弁理士や調査会社を利用すべきである。

 特に海外は弁理士や弁護士の手腕によって大きく知財業務が左右されるため要注意である。

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