1.最近の企業の知財動向
本年度に入り主たる企業の知財部長や知財部の声に共通したテーマがある。このことは近年には聞かれない企業の声である。すなわち企業にとって知財とは何か、知財は経費のみ大きく増加しているが企業にとって役立っているのか、知財がなかったら企業活動はどうなるのか、本当の意味で知財の原点が問われる生の声が企業経営者から発信されているとのことである。
このことは企業の知財部のみならず私共弁理士にとってもゆゆしき問題である。
しかしながら、私にとっては企業経営者の上記声は理解できるのである。
それは、現在迄企業、特に大手企業は出願して権利化し、多くの権利を獲得することを目的とした権利化主義に力を傾注し、知財力を生かした企業戦略を構築していないからである。知財は企業ビジネスに貢献しなければ意義がないと言っても決して過言ではないのである。例えば1,000件の特許権を保有していてもそれがその企業の活動に直接又は間接的にも貢献していなければ単なる経費の無駄遣いとなるのみである。最近A社は上記事情から1,000件の特許権中、300件を放棄した。このことは正に知財は企業ビジネスに貢献することが必須不可欠なのである。
2.企業の知財活動の見直し化
上記事情は大多数の大手企業に該当する命題であることから、知財部長や知財部もそれに気付き、本年度から知財活動の見直しを始め、本年度の重点課題に変化が生じてきているのである。
私は、以前から主張しているのは知財部は企業内の一事業部であって決して排他独立した部門ではないことである。従って企業内の知財活動は企業経営戦略に沿った知財戦略の実行部隊であるべきであって、単なる事務部門でもなければ特許事務所との連絡部門でも決してないのである。
3.本年度の重点課題
上記事情と反省を踏まえて各企業の知財部の本年度の重点課題として共通している項目は下記のとおりである。
(1) 事業部・営業部との共通認識と一体化による知財活動
企業の主たる事業や営業戦略に対し知財力によって如何に貢献するか。
(2) グローバル化による国際知財戦略の重視
企業のグローバル化活動、さらにはR&Dセンターを海外にシフトする中で、国際的な知財戦略や知財情報戦略を如何に行うか。
(3) 特許情報戦略の有効活用(競合企業の情報分析)
国内はむろん海外の知財情報をスピーディに且つ正確に入手、分析して技術動向や特許動向、さらには競合企業動向を分析すること。
(4) 外部の弁理士や調査会社の有効活用
企業の知財部の活動を一変し、外部の弁理士や特許事務所、調査会社を有効活用して企業の知財活動の効率化と知財戦略に参入させること。但し権利化主義の弁理士や特許事務所では役立たない。
4.サン・グループと企業の新たな活動について
サン・グループは既に上記企業の命題を古くから考え実践していることから、最近より一層サン・グループへの相談や依頼が増加している。
このことは私にとっては弁理士活動を開始した時から実践していることで、何ら目新しい出来事ではない。
むしろ、現在までの実績を踏まえてさらに各企業を強力にサポートしたく考えていますので、いつでも御相談下さい。