1.知財は企業ビジネスに貢献しているか
企業の規模の大・小に関係なく、知財は企業の無形資産である。
しかるに多くの企業は、現在迄知的財産権(特許・実用新案・意匠・商標)を取得すること、並びにその件数を意識して件数が多いことに誇りや優位性を感じていたものである。
しかしながら、ここ数年前から経営者の声や知財部長の意識改革によって経営に貢献する知財戦略や経営に資する知財戦略の重要性をやっと認識してきたのである。
このことは、最近、国内出願が減少化傾向にある、一方で海外出願が増加傾向にあることからもその傾向が伺える。
本来、知的財産権を獲得する目的は、市場における他社排除による独占化、あるいは他社からの攻撃を排除すること、さらには模倣対策等の主たる目的があるが、いずれも企業ビジネスに貢献することを主眼として権利化をすべきものである。
このことは、最近、大手企業A社からの相談として、現在1,000件の特許権を保有するが維持管理に相当なコストを要していることから経営者から特許権の棚卸を行うよう指示され、その結果、300件の特許権を放棄し、さらに700件の特許権を評価するよう指示されたとして私に相談があったケースがある。
このように特許権は数ではなく企業経営や事業に貢献することが重要であり、企業ビジネスに役立たない知的財産権は意義がないのである。
2.知財の中小企業への貢献
私が事務所を設立した1974年から多くの中堅・中小企業と出会い、当初からクライアントの多数は中小企業であった。
中小企業にとって特許出願等の費用は必ずしも安くないため、新製品や新技術の保護として数多くの権利化を目指すのではなく、その製品や技術を如何に1件または数件の権利で保護するかが最重要テーマである。
しかも、製品化するとすぐ模倣品が市場に出回る可能性が高く、即企業ビジネスに影響を与えることとなるのである。
その結果、中小企業にとっては保護対策や模倣防止対策として知財が企業ビジネス上極めて重要な位置付けにある。
このように中小企業に代表されるがごとく知的財産は経営的見地から戦略上極めて重要な意義があり、これが正に知財の存在価値として評価できるのである。
3.今後、企業のグローバル活動の中で、国内はむろん海外に対する知財戦略も企業経営上の観点からその戦略を構築し、事業戦略上優位となるべく知財を活用することが重要な命題である。
そのためには企業と弁理士(知財のプロ集団)とが一体となって事前に経営や事業のための知財戦略を構築すべきで、該構築を支援できる弁理士が重要となるので、単なる事務屋的弁理士では役立たないのである。
サン・グループは、常に企業経営の立場に依拠して企業のための知財戦略と知財支援を実行している知財のプロの集団で、多くの企業から高く評価されているのである。