SUN GROUP

知財教育・調査・出願・係争など知的財産に関する
あらゆるサービスを戦略的に提供。【大阪・東京】

弁理士藤本昇のコラム

column

ホーム > 弁理士藤本昇のコラム > [コラム]最近の企業の知財戦略の動向とあるべき姿

[コラム]最近の企業の知財戦略の動向とあるべき姿

2025年06月10日NEW

1.はじめに

 知財は企業経営や企業の事業に資するものでなければならないと言われて相当な年数を経過するが、このような知財戦略や知財政策を実行している企業は大手企業の一部である。

 未だ多数の企業は、出願から権利化することが主たる知財業務であると認識しているようであるが、この考え方は今一度考え直し、現在及び今後の企業の知財戦略の見直しと新たな知財戦略を構築すべきで、私の考えるその主たる思考法は下記のとおりである。

 

2.知財情報基盤の整備と構築

 知財のリスクとリスク回避は、企業の経営や事業にとって最重要テーマである。他人の権利を侵害すると、製造・販売の中止に追い込まれる他、高額な損害金を支払うことになり、企業経営にとって重要な問題あるいは致命的な問題となる。

 このような知財リスクを回避するためには、事前に侵害性調査を継続して行う等知財情報(特に競合先企業の特許情報や意匠情報等)の収集と分析並びに侵害成否判断を行う体制が必要不可欠である。社内で無理ならば社外の有力な調査会社と提携すべきである。

 いずれにして、知財情報の収集・分析・判断する情報基盤の構築が必要不可欠(防衛体制)。

 

3.高価値化権利の獲得作戦とその戦術

 従来型のように単に特許や意匠を出願して権利化するのではなく、企業ビジネスに価値のある権利を獲得するために研究・開発時からビジネスを意識した出願戦略を考え、高価値化権利を獲得する戦術が必要である。
 そのためには、出願の請負型(手続型)の弁理士や特許事務所ではなく、企業ビジネスを理解した戦略型あるいは戦略家の弁理士や特許事務所と業務提携して高価値化権利の獲得を目指すべきである。

 ここで高価値化権利とは、①競合企業に脅威となる権利、②権利範囲からの回避が困難な権利、③競合企業の実施品を的にした権利化(分割・変更等の戦術)、④新規技術の先行型の権利等このような権利化は正に企業の攻撃型戦略である。

 

4.企業間競争の激化

 企業にとって国内外とも益々競争が激化する今日、知財戦略、特に知財の活用戦略(攻撃型)とリスク予防戦略(防衛型)が最重要テーマとなる。企業、特に中堅・中小企業(大手企業であっても知財部がない、あるいは知財部員が数名程度の企業は知財の中小企業)にとっては、上記のような知財戦略の必要性すら自覚していない企業や社内に知財人材がいないあるいは不足している等の理由から出願して権利化することしか実行していない企業も多数存在する。

 これでは、一時的に利益を得ていても中長期的には企業価値の向上にはならない他、高収益企業にもなり得ないのである。

 

5.外部の有力な弁理士や特許事務所及び調査会社の活用戦略

 上記のような中堅・中小企業にとっては、外部の有力で実績のある弁理士や特許事務所及び調査会社を活用することが重要。その選定基準は、弁理士が知財の戦略家であるか否か、権利化のみならず知財紛争や知財訴訟を多く経験しているか否か、さらには特許事務所自体の歴史や実績・経験等、さらに調査会社の場合はその実績や調査の質・サーチャーの質等が重要な選定基準となる。

 正に現在及び将来は知財の戦略が企業価値向上の重要ファクターであることに経営陣は気付かなければならない。

判例紹介
SUN・GROUPホールディングス株式会社
〒542-0081
大阪市中央区南船場1丁目15-14号
堺筋稲畑ビル2F (総合受付5F)