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弁理士藤本昇のコラム

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[コラム]中堅・中小企業の知財リスクと対策

2024年09月12日

1.はじめに

 最近の企業間競争は激化するとともに国際市場への参入や海外での生産拠点のシフト等によって、今後益々グローバルな企業活動の中で知財に関するリスクが増加傾向にある。特に中堅・中小企業は、独自な技術開発で成長している企業がある一方で、他社の技術・デザイン・ブランドにフリーライドあるいは接近することによって、知財のリスクの危険が高まっていることも事実である。

 中堅・中小企業にとって、他人の産業財産権を侵害した場合や不正競争防止法に違反した場合には、企業ダメージが大きく、ケースによっては企業の生命線となり得る場合がある。このような状況下において、少なくとも知財のリスクとは何か、そのリスクの内容並びに事前の予防対策はどうすればよいのか概説する。

 

2.知財のリスクの種別

(1)産業財産権を侵害行為

 他人の特許権・実用新案権・意匠権・商標権を侵害するリスク

(2)不正競争防止法違反行為

 ①不正競争防止法2条1項1号(2号)に違反する行為(他人の周知な商品等表示と類似する商品等を販売する行為)

 ②不正競争防止法2条1項3号に違反する行為(他人の商品形態を模倣する行為)

(3)著作権侵害行為

(4)契約上のリスク

(5)海外でのリスク

(6)自社保有の産業財産権のリスク

 自社が産業財産権を保有しているが、その権利範囲が狭く、他人の製造・販売等の行為に対し権利行使できないリスク。企業は権利化が目的ではなく、競合他社の模倣や接近行為に対し権利行使して差し止めや損害金等を獲得して事業収益に貢献することが権利化の目的であることを忘却してはならない。

 

3.知財リスクの予防対策

(1)産業財産権の事前調査(侵害性調査)

 開発時から販売直前迄及び販売後も一定期間、開発予定製品や販売製品について事前に障害となる権利の有無を調査することが極めて需要。サン・グループの調査会社であるネットスには、最近侵害性調査依頼が急増しているのが現状。

(2)侵害成否判断とその判断主体が重要

 障害特許や障害意匠が発見された場合に、その権利を侵害するのか否かの判断が極めて重要で、特に中堅・中小企業にとっては通常外部の弁理士(特許事務所)に依頼することになるが、その際注意しなければならないことはその弁理士の専門性で、専門外のことでも判断する弁理士があるが極めて危険(例えば意匠の経験のない特許弁理士が意匠権侵害成否を判断するケース)であることを忘却してはならない。

 その分野の専門弁理士でかつ知財紛争や訴訟経験のある弁理士が最適である。セカンドオピニオンとして依頼することも重要。

(3)企業内の知財の知識普及と意識向上

 中堅・中小企業の場合、知財紛争や訴訟が企業の命取りとなるケースもあるので、企業の事業部や営業部も含めて社内の知財教育が知財のリスク対策として重要である。

(4)海外での知財リスク予防

 海外が生産地であるケースや海外で商品等を販売するケースの場合も国内と同様にその国の知的財産権を侵害しないか否か(特に海外はブランド(商標)が重要)事前に調査することが重要。ネットスには最近海外調査の依頼も急増している。

 

4.中堅・中小企業の緊急テーマは社内の知財教育と知財マインドの向上、常に上記知財リスクを意識して事前に侵害性調査を行うことである。私共、サン・グループは現在数多くの企業から知財リスク対策の依頼を受け、多くの企業に実践し成果を発揮しています。

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