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弁理士藤本昇のコラム

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[コラム]本年 サン・グループ創立50周年を迎え思い出の事件集(特許権侵害事件等民事事件)

2024年02月08日

1.はじめに

 弁理士 藤本昇は、昭和49年(1974年)4月に藤本昇特許事務所を開設して以来、本年50周年を迎えることになりました。
 その50年間に弁理士 藤本昇が補佐人として取り扱った侵害訴訟事件及び不正競争防止法訴訟事件等民事事件数は、実に137件と弁理士として国内でも有数の事件数を取り扱いました。
 これらの事件の中で今般思い出に残った事件の一部を紹介します。

 

2.おにぎり特許戦争

 現在、セブンイレブンやローソン等のコンビニで販売されているカットテープ付き三角おにぎりは、「おにぎり3号」でその前の「おにぎり1号」と「同2号」はカットテープ方式ではなく底部から中袋を引き抜くタイプ(パラシュートタイプ)であった。

(1)おにぎり1号事件(大阪地判昭62年(ワ)第2422号事件)

 本件のおにぎり包装は、日本最初のパイオニア的発明であった(昭和53年考案)。該包装形態は東京の弁理士によって実用新案として登録されていたが、S社が類似の包装形態のおにぎりを販売したため、実用新案権侵害訴訟を提起したのが本件訴訟事件である。

 裁判所は、本件実用新案登録請求の範囲が極めて限定的に記載されていたが、考案の本質論から侵害と認定した。

 

(2)おにぎり2号事件(大阪地判昭62年(ワ)第2X07号事件)

 本件は、おにぎり2号包装に筆者が代理人として特許出願して登録された特許権に対し、S社が同様の包装形態のおにぎりを販売したため、訴訟を提起した事件である。

 本件は、S社から5件の無効審判が請求されたため、一旦訴訟は中止し無効可否の最終結果を見定めた。その結果、全ての無効審判請求が認められず(審決取消訴訟も認められず)、特許権は維持された。
 この結果、被告のS社は筆者に和解を申し込んできたため、原告は数十億円で和解した。

 

(3)おにぎり3号事件(東京地判平5年(ワ)第2389号事件)

 本件は、筆者が上記2件で提訴した被告S社から依頼されて受任した事件で、現在販売中のカットテープ方式のおにぎり3号をS社が販売したところ、原告から実用新案権侵害訴訟を東京地裁に提起された事件である。

 本件では、均等か否かが争点となったが裁判所は均等を認めず非侵害と判断した。

 

3.その他の思い出の訴訟事件

 その他数多くの思い出の訴訟事件はあるが、紙面の都合上、事件番号のみ紹介する。

(1)盗難防止用ホイールナットの意匠権侵害訴訟事件(大阪地判昭60年(ワ)第1944号事件)

(2)輸液パック意匠権侵害訴訟事件(大阪地判平14年(ワ)第4433号事件)

(3)回路遮断器特許権侵害訴訟事件(和解事件)(大阪地判平30年(ワ)第5777号事件)

(4)正露丸 商標・不競法事件(大阪地判平17年(ワ)第11663号事件)

(5)意匠・不競法事件(原告取下事件)(新潟知判昭63年(ヨ)第2403号事件)

 

4.上記は単なる一例ではあるが、筆者は弁理士として数多くの侵害訴訟事件を取り扱い、その訴訟経験から特許・意匠・商標の出願戦略、特に特許のクレームの記載戦術等について多くのことを学び、これが現在の藤本パートナーズの弁理士に継承され、日々企業のために業務遂行しているのである。

 国内の多数の弁理士は、侵害訴訟事件の経験が少なく、多くの弁理士は権利化業務を行っているが、侵害訴訟事件を経験してはじめて、特許では特許請求の範囲の記載の重要性やリスクを知ることができ、また意匠や商標においては出願態様をどのようにすれば有益かを知ることができるのである。

 藤本パートナーズの弁理士は、前記訴訟経験を通じて日常の権利化業務を如何にすれば企業に有益か、すなわち権利活用時に有利となるかを考え日々業務遂行していますので、ぜひとも重要案件の権利化については御相談下さい。

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