1 弁理士藤本 昇の知財哲学
本年度、私は弁理士生活53年目に突入したが、私は当初から「知財は戦争である」との一貫した考えで弁理士業務を遂行してきた。
特に開設当初の依頼企業のほとんどは中堅・中小企業であったことから、知財はこれらの企業にとって直ちに経営に直結するため、権利化やリスク対策、紛争事件等は費用対効果の観点から弁理士としてその戦略を考えねばならなかった。
このことが、結果的に弁理士としての私を育成してくれたのである。
2 最近の企業経営と知財
最近の動向としてコーポレートガバナンス・コードの改訂によって企業経営者にとって知財の可視化が投資家や株主に必要不可欠となる他、主要な日本企業の経営者が知財意見交換チームを結成、さらに本年2月、ソニーグループは十時氏が社長兼最高執行責任者に就任することになるとともに、御供氏が副社長に就任する事になった。御供氏はソニー入社以来、知財部門に携わる知財のエキスパートである。
エンジニアでもなく、財務や営業畑でもない知財の専門家を企業経営の司令塔に昇格させた。正にソニーの戦略で再重視するのはパーパス(存在意義)経営の実現でその要は知的財産(IT)である。
このように最近、技術の多様化、複合化、融合化等によって従来型の単独技術から複合技術へと技術の多様化が世界市場の変遷とともに益々進化するのである。
このような背景の中で、他を制する武器は正に知財である。
3 知財部門や知財人の高評価対策
上記のように企業経営にとって知財の重要性が経営戦略上必要不可欠であることが、企業の経営者が意識しつつある時代に突入したことは事実であるが、企業内の知財部や知財部長、知財人への評価は必ずしも高くないのが現実である。特に欧米に比し日本の企業経営者の意識は、知財よりも営業を重視する傾向にある。
その要因は、経営者や経営陣にもあるが、知財部の社内における評価が低いことが最大の要因である。そのためには、知財部として何をすべきかであるが、知財の可視化によって経営や事業に貢献あるいは寄与していることを具体的かつ数値化することが必要である。そのための対策の主要項目は下記点にある。
(1)売上に対する産業財産権の寄与度の数値化
(2)新規事業等新たなイノベーションに対する知財の独占化(先行企業)
(3)知財のリスク対策による経営や事業への貢献度
(4)国際的市場における知財の独占化、ブランド化
(5)知財戦略の可視化
知財部は単なる権利化のための事務屋からの脱皮による知財戦略の重視化と可視化
(6)競合他社との対比論から独自戦略論への転換
4 知財戦略
今後益々進化するクリエイティビティとテクノロジーの進化とそれらに対応する知財戦略が企業知財部の価値評価の最大のキーポイントである。
5 サン・グループの使命
このような時代的背景とともに知財戦略が企業成長の要であることを経営者は認識すべきであるとともに企業内の知財部や知財関係者は、これらのことを経営陣に意識させ認識させるべきである。
最近、私に取締役会で知財の重要性やそのリスクについて講演して欲しいとの依頼が大手企業からも増加している。
サン・グループは、人材教育や講演依頼を受任するパトラ、特許情報分析、調査のネットス、権利化や知財のリーガルサービス提供の弁理士法人藤本パートナーズが、夫々の分野で企業及び企業の知財部や知財担当者を強力に支援致します。
サン・グループは企業の知財戦略を総合的に支援する知財のプロ集団です。