1.はじめに
本年度も早や最終月となりましたが、この一年を振り返り、サン・グループの活動と知財の動向について解説するとともに2020年に向けての動向について触れます。
2.サン・グループの活動
(1)意匠の専門書出版
長年の意匠実務や訴訟等の経験を踏まえて、従来意匠分野ではなかった意匠の実務書「これで分かる意匠(デザイン)の戦略実務」をサン・グループが発明推進協会の依頼により発行し、大変好評を得ています。
今後、意匠法改正が2020年4月1日より施行されるため、改正内容の解説書も早期に発行したく考えています。
(2)本年度の海外出張
①中国出張(9月)
②APAA台湾大会出張(11月)
③ドイツ出張(日・中・韓のドイツセミナー)
これらの海外出張によって、現地代理人や現地企業との連携を次年度以降もさらに強化します。
(3)侵害訴訟事件(知財紛争事件)
現在迄に知的財産権侵害訴訟(審決取消訴訟を除く)を150件以上受任経験しておりますが、現在も5件の侵害訴訟事件が継続中であります(特許3件,意匠2件)。私共、藤本パートナーズは知財訴訟実務の経験が豊富で、紛争事件や訴訟事件に強い事務所として企業から高く評価されています。今後もこの分野をより強化します。
(4)特許・意匠情報の調査・分析
ネットスには、現在も多くの大手企業はむろん中堅・中小企業から、特許・意匠の調査はむろん情報分析や他社動向分析の依頼が急増しています。今後もより高精度で高品質な調査や分析をスピーディーに提供いたします。
3.企業と知財
企業にとって、最近知財が企業の経営や事業に貢献しているかが問われています。知財部や知財活動はビジネスに寄与、貢献しなければ意義はありません。私共はこの課題のためにあらゆる角度から企業を支援しており、今後も強化します。
4.特許法、意匠法の一部法改正
特許法及び意匠法の法改正が2020年4月1日から施行されます。この改正法中、意匠法の改正は特に重要ですので要注意で、今から戦略を考えてください。特に『画像意匠』と『建築物や内装』についての意匠は新たな保護対象としての重要な改正ですので十分な企業戦略が必要です。
5.知財高裁大合議判決(令和元年6月7日)
この判決は、特許法102条2項と3項に関する損害額及び実施料の算定に関する重要判決です。今後、損害額や実施料率を算定する際の判断基準が判示されています。今後、日本においても損害額や実施料率は高くなる可能性があります。正に、日本の知財訴訟も益々重要であると同時にプロパテント化の移行にあると考えられます。
6.サン・グループ(弁理士法人 藤本パートナーズ,株式会社ネットス,株式会社パトラ)は、本年度大変お世話になりました。誌上を借りてお礼申し上げます。
2020年度からは、3~5年先を読み、新たな改革のスタートと考えています。改革の骨子は、内外企業の知財に関する諸問題を各企業からヒアリングして、夫々の企業に合った知財戦略を提案すること、並びにこれらの知財戦略を支援、実行するためのサン・グループ内の組織や人材の研修、新たな人材の採用を検討して実行することにあります。
2020年度以降もよろしくお願いいたします。