1.はじめに
日本の知財業界においては、古くは日本特許協会(現・日本知的財産協会)が設立され、現在も活発に活動されておる一方、商標に関しては日本商標協会が設立され、現在活動中であります。
しかるに、デザインや意匠に関しては、上記のような協会はありません。しかもデザインに関しては各種デザイン団体が存在する他、企業内外に多くのデザイナーが存在します。
このようなデザイン業界において、デザイナーや弁護士・弁理士等の法律家、学者、企業のデザイン担当者(知財担当者)等が一堂に集まり、デザイン及びその周辺の法律を勉強する団体の必要性を相当以前から考えていました。
そこで、東京の峯弁理士と私が中心となってこのような団体の必要性を感じ、関係者が集まり準備委員会を6ヶ月以上前に立ち上げました。
その結果、「デザインと法協会」を設立することになり、本年5月26日東京の早稲田大学にて設立総会を開催しました。
2.設立趣意
今日の日本は、急速なグローバル化や少子高齢化、またAIやIoTを中核とする技術革新による社会変革の影響を受け、産業構造のみならず文化や生活に至るまで、様々な場面において大きな転換期を迎えています。
こうした先行き不透明な環境下において、日本が新たな成長ステージに移行し、より豊かな国民生活を実現するためには、従来型の思考に囚われず新たな発想で積極的にチャレンジし、イノベーション(革新)を実現することが不可欠であります。
イノベーションの実現には、デザインが大きな役割を果たします。デザインは私たちが大切にしている価値観や思いをカタチにするものであり、デザインを通じて国内外に対して強いメッセージを発信することができます。
そして、今後の社会環境の変化によって生じる、様々な課題を解決するための有効な手段となり得ます。私たちは、このデザインが持つチカラを最大限に活用したいと考えます。
そこで私たちは、デザインに関わる様々な立場にある者が一堂に会し、デザインとそれを保護する法制度の重要性を再認識し、その積極的な活用を通じて日本の持続的な発展と、より豊かな国民生活の実現を図ることを目的として、行政や他の関連団体との連携を図りつつ、国内外に対する提案活動や啓蒙活動等を行うために、ここに「デザインと法協会」を設立しました。
3.今後の活動概要
設立当初は以下のような活動を予定しています。
(内部活動)
①デザイナー・企業・知的財産の専門家相互の情報交換の場の提供
②デザイナー・企業・知的財産の専門家がお互いに学び合う場としての研究会の開催
これら2つの活動を通じて、参加者には次のような御利益(成果)を提供できるものと考えています。
○デザイナーにとっては、意匠・商標・著作権などの知的財産の知識の習得、専門家の知人を得る機会となります。その結果、自らの仕事を知財の観点から考えることができ、契約書の読み方や権利意識なども身につけることができ、「ここにいれば安心」「ここで学べばクライアントに有益な情報を提供できる」という場を提供します。
○企業にとっては、「デザインの現場」からの生の声を聞く機会となります。その結果、企業における「デザイン」「デザイナー」の活用について考える契機となる場を提供します。企業からは、知財部の他、デザイン部門、マーケティング部門、経営企画部門など広範な部門からの参加を期待しています。法人会員の場合、参加者の人数に制限はありません。
○知的財産の専門家にとっては、「デザインの現場」「企業におけるデザインの考え方」「デザイナーの思考」などを知る機会となります。その結果、意匠法をはじめとするデザイン法制についての思索を深める契機となる場を提供します。
③デザインに関する諸制度の調査研究
従来、種々の立場からデザインに関する活動をしている人たちが、協同して制度を研究する場は限られています。この活動により、デザイン関係者の総意を見いだし、それを発信することができれば、わが国のデザイン政策、デザイン法制に影響を与えることができると考えています。
(外に向けた活動)
①デザイン政策、デザイン法制に係わる公的機関へ意見具申
②デザインに係わる諸団体との交流
③デザインに関するセミナーの開催
4.入会について
現在、当協会への入会を受付け中ですので、参加御希望の方は入会して下さい。
(1)入会手続
協会ホームページからお申し込みください。なお、お申し込み頂いた後、理事会での承認を経て、年会費の納入をご案内します。
http://jadela.jp/ [JADELA デザインと法協会]
(2)会費(年会費)
会員種別・年会費は以下の通りであり、入会金はありません。
個人会員 5,000円
法人会員 30,000円
学生会員 1,000円
5.今後への期待
「デザインと法協会」が設立されたことを機にデザイン業界や意匠(意匠法上の意匠)関係に携わるデザイナーや法律家、企業等が今後の国内外のデザインに関する意識とデザインを活用した新たなイノベーションが実現されることを期待します。
ぜひとも多くの方がこの協会に入会され、活発な活動がなされるよう発起人の1人である私としては念願するものであります。
6.関西における活動
今回、「デザインと法協会」が東京で設立されたのを機に該協会の活動を将来全国的に展開したく考えております。
まずその第1段として関西に関西部会(仮称)を設立し、関西のデザイン関係者が一堂に集まるべき組織作りをできるだけ早い時期に立ち上げたく思っていますので、その際には多数の参加をお願いします。
まずは当協会に予めご入会下さい。