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弁理士藤本昇のコラム

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[コラム]意匠の活用戦略

2014年06月18日

1.最近、機械分野のメーカーからは、技術が成熟しているため特許を獲得することが困難であるから良い保護手段はないか、あるいは製品は模倣されてはいないがパッケージデザインが模倣されているとか、またはIT機器分野のメーカーからは画像の模倣が発生しているとか、従来にはない多くの相談がある。

2.一方、意匠は登録しても安易に模倣されるため、意匠登録しても効果がない、費用対効果がない等と従来考えられていて、特許に比し意匠を軽視する傾向にあった。
しかしながら、この点は特許であっても特許請求の範囲が極めて狭い状態で特許化されれば同じことである。

3.上記のように意匠を軽視する考え方は、意匠を理解していない、または意匠の保護戦略ができない者の考え方であって、あくまで意匠の保護戦略を出願前に十分多面的、多角的に検討したうえで意匠登録するならば意匠の保護範囲は場合によっては特許以上の効果を発揮するのである。具体的には全体意匠か部分意匠か、あるいは全体意匠と部分意匠の出願戦略、さらには関連意匠の出願戦略等を十分に出願前に検討し、保護範囲や模倣範囲を事前に読み取り出願戦略を考えるならば意匠は物品の外観形態の保護として大きく機能するのである。

4.これらの出願前の事前戦略を行うには、意匠に精通した弁理士でなければ多分無理であろう。多くの弁理士は依頼された意匠をそのまま出願する、いわゆる事務屋が圧倒的に多く、しかも意匠の権利化業務はむろん、審判や訴訟を経験した弁理士が非常に少ないことも事実である。

5.今後、企業として製品形態や画像形態、さらにはパッケージデザインに特徴があるような場合には、意匠専門の弁理士の指導や助言に基づき有効且つ有益な意匠権を獲得すべく意匠出願前の戦略を実践すべきである。
特に、意匠の生命線は意匠の類否判断にあるため、意匠専門弁理士の指導が必要不可欠である。

6.さらに、海外、特に中国におけるデザインの模倣防止対策としては中国の意匠に精通した弁理士の指導が重要である。
中国の意匠制度は、無審査主義であるため、日本企業の製品やパッケージのデザインが不正または無断登録されているケースも数多くある他、中国人が中国で意匠登録して日本企業に対し侵害訴訟を提起しているケースも発生しているため、より一層日本企業は、中国はむろん海外におけるリスクマネジメントを強化及び重視しなければならないのである。

 今後益々進行する企業活動のグローバル化の中で、製品の保護戦略として意匠の重要度は益々高くなるであろうから、国内はむろん海外における意匠の保護と模倣防止対策を専門の弁理士の指導の下に直ちに実行すべきである。

 尚、本年5月1日より中国においてGUI意匠(画像意匠)の保護が可能となったので、これも活用すべきである。

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